【軽減税率】自民党公約を無視して財務省の“走狗”になった麻生財務相の愚かさ (1/2ページ)

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“上から目線”で納税者をバカにする麻生財務省
“上から目線”で納税者をバカにする麻生財務省

【朝倉秀雄の永田町炎上】

少しも「痛税感」の緩和にならない財務省の代替案

 2017年4月から消費税が8%から10%に増税される。筆者のようなしがないもの書きで、毎日、生活苦に嘆いている者にとっては死活問題だ。消費者税に代表される間接税は低所得者ほど収入に対する税負担が重くなる。これを「逆進性が強い」と表現する。

 かと言って、累積する財政赤字や毎年、膨らむ社会保障費を考えれば、10%への増税もあながち否定はできない。その場合、負担増による国民の“痛税感”を和らげる緩和策として不可欠なのが、飲食料品など生活必需品の税率を8%に据え置く「軽減税率」の導入だ。

 自民・公明両党も2014年の総選挙の公約に掲げ、今春には与党協議を始めた。だが、対象品目の選定で難航し、「酒類を除く飲食料品」「生鮮食品」「精米のみ」の3案に絞ったものの、結論が出ずに6月に中断した経緯がある。

 ちなみに日本の消費税に当たる欧州諸国の「付加価値税」の標準税率と食料品や新聞・書籍・雑誌などの軽減税率を比較してみると、英国が標準税率20%に対し食料品と新聞などは0%。ドイツが19%に対し食料品や新聞は7%。フランスが20%に対し食料品と書籍が5.5%、新聞・雑誌は2.1%などとなっている。新聞や書籍、雑誌を軽減税率の対象に含めているのは、民主主義を支え、文化の土台となる言論の多様性を確保しようとの配慮からだ。

 その政治主導の頓挫を嘲笑うかのように9月4日に唐突に飛び出したのが財務省主導による代替案の「還付金制度」だ。

 これは「酒類を除く飲食料品(外食を含む)」を購入する際に先ず店頭で10%分の消費税を払い、後で税額2%分に相当する額も還付するというものだが、この案は2016年1月から交付される予定の「マイナンバー(共通番号)カード」とセットでなければ成り立たない。マイナンバーには名前の住所などの個人情報以外に各種のデータを自由に読み書きできるICチップ(集積回路)が埋め込まれている。この機能を使い、消費者が対象品目を買う際、カードを小売店が据え付けた読み取り端末にかざして2%分の消費税額を「軽減ポイント」として取得。後で自宅のパソコンなどで還付申請するという手順になる。

 しかし、そんな仕組みだと消費者は購入時に10%分の消費税を払わなければならず、負担軽減の実感が乏しく、「痛税感」はまったく緩和されない。財務相は還付金の上限を一人当たり4000円程度とする腹積もりのようだが、その額だと、ほとんどの所得帯で負担増額が還付金を上回ってしまう。当然、消費を冷え込ませ、経済成長にブレーキをかける恐れが出てくる。

 それにマイナンパーカードの取得は本来、「任意」のはずだが、還付を受けるにはカードが必要なのだから、事実上、「強制」になってしまう。子供や老人までがカードを持って買い物に行くのはいかにも非現実的だし、街の八百屋や魚屋などのすべてに端末機を据え付けさせるなど無理な話だ。

 それだけではない。インターネットなどできない高齢者は事実上、還付金を受けられないことになり、公平さを害する。情報の詰まったカードを紛失する恐れだってある。何より危惧されるべきは、悪質な連中が小売商や飲食店などに成り済ましてカードから個人情報を盗み取り、詐欺を働くことだろう。

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