中国人が見た「横田基地日米友好祭」…オスプレイの人気ぶりに驚愕

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日米友好祭で記念撮影(右が著者)
日米友好祭で記念撮影(右が著者)

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。「横田基地日米友好祭 / フレンドシップフェスティバル」が、今月19日と20日の2日間にわたって開催されました。戦闘機マニアの僕にとって、たくさんの機体が展示されるこのイベントはかねてより楽しみにしていたものでした。

 今回、初めて横田基地に行ったのですが、この基地の周辺には英語の看板が掲げられている米軍向けの飲食店やグッズ店などのショップがたくさんありました。また、キリスト教の教会もあり、まるでこの一帯だけアメリカのようで、米軍が日本の地に根付いていることを実感しました。

1日に10万人も訪れた日米友好祭

 折しも17日には安保法案の成立により、国会内で騒乱が起こりましたが、この日のイベントには多くの人が詰めかけていました。1日の入場者数は10万人というのですから、相当なものです。見る限り、その大半が、政治的な団体などではなく、ごく普通の家族連ればかりでした。こうした賑わいを見ていると、数日前の国会にて安保に反対する声が渦巻いていたことなどまるで何もなかったかのようにも思えました。少なくとも、ここに来ている人たちは安保反対の立場ではないでしょう。

 もっとも、基地から500メートルほど離れた牛浜駅にはほんの数人程度ですが、左翼の人たちが基地反対の横断幕を抱えて陣取っていましたが、パッと見た程度だと見過ごしてしまう程度でした。

 テロなども警戒していたのでしょうか、基地に入場する際には、危険物を持ちこんでいないか、金属探知機で調べられたり、ポケットの中も見られるほど厳密な持ち物チェックが行われていました。ですが、ひとたび中へ入ってみると、そこはまるでテーマパークのように、催し物が行われていたり、輸送機や戦闘機などの展示物がありました。

 米兵たちはまるでマスコットキャラのように、気さくに来場客に手を振り、子どもの相手をしたりしています。そこでは、米軍とツーショット写真を撮ることもできましたし、時には、米兵が子どもを抱っこして持ち上げ、輸送機のジェットエンジン口に乗せたところ、その子供が泣き出してしまうという、ちょっと困ってしまうような微笑ましい一幕もありました。

 昨年の11月、入間航空祭に行ったときも、僕はそのルポで書いたのですが、中国の人民解放軍の航空祭とは全く様相が異なっていました。中国の場合は、その軍事力を国民に対して誇示するというのが大きな目的であり、ピリピリとした厳戒の空気の中、戦闘機が飛び立ちます。これだけ我が国は優秀な戦闘機を揃えており、いつ何時、敵の侵略があったとしても対抗できるという姿勢を見せるわけです。人民解放軍たちも、兵士としてのプライドを持って立ち、入場客に対して笑みを浮かべたりもしません。彼らに会うと、まるで上から目線で見下されている感じがするため、正直、いい気分ではありません。

 一方、今回の横田基地のイベントや、前回の自衛隊単独による入間基地のイベントの場合、和気あいあいとした雰囲気の中で、米兵や自衛隊員が来場客をおもてなしします。米兵の陽気で気さくな態度は、まるでお友達感覚です。そして輸送機や軍用機は、戦争に使われる兵器ではなく、まるで遊園地のアトラクションであるかのように展示されているのでした。どちらがいいかというと、もちろん来場客にとっては、日本や米軍のイベントの方がいいに決まっています。

 中国の航空祭だと、戦闘機は軍事機密であるため、一般客は乗ることどころか触れることすら許されませんが、この日の横田基地の来場客はいくらでも触わり放題でした。輸送機の中は、自由にくつろぐことのできるスペースがあったり、米軍エンブレムを販売している物販コーナーもあったりしました。更に驚くべきことに、輸送機のコクピットにも自由に入ることができて、男の子たちが大興奮して眺め渡していました。中国だと絶対にあり得ない話です。

 そして、この日の一番人気はオスプレイの展示で、2時間ほどの行列ができていました。さすがにそれだけ待つ気力はなくて、泣く泣く諦めました。

 その代りに僕がやったことと言えば、500円で全身パイロットの服とヘルメットを装着し、それを記念に撮影するというものでした。これで戦闘機のパイロット気分を味わうことができます(笑)

 それにしても、このオスプレイの人気ぶりを見ていると、これがあの普天間基地で地元民から忌み嫌われている機体だとはとても思えません。オスプレイは、ヘリコプターのような垂直上昇の動きで飛び立つことができる上、プロペラが前方に回転することにより、プロペラ戦闘機のような航行速度を得ることができるという、画期的な機体です。狭い地域の被災地や戦艦の上にも離着陸できるうえ、仮に尖閣諸島などで戦闘となった際にも、大活躍することは間違いありません。自衛隊には輸出されていない米軍の所有機です。

 そのため、まさに「反米」や「反基地」の人たちにとっては、米軍を象徴する格好の標的対象ではあるのですが、この日の主役はまさにこのオスプレイだったのです。来場者の多くはみんな、この機体が優秀であり、いざというとき日本を守ってくれるものだということを認識していました。日本の報道においては、安保反対や基地反対などの声が大きく取り上げられていますが、決してそういう声だけではないということが、この日のイベントで分かりました。

 なお、この日は、米軍によるバンド演奏や、日本の自衛隊員による和太鼓演奏などの音楽フェスティバルも行われていました。その催しのホールでは日米の旗が並んで大きく掲げられていたのですが、これを見たときに、中国人の僕はつくづく思いました。

 日本と米軍は70年前の戦争において激しく争っていたけれども、今はこうして仲良く手を携えています。ですが、日本と中国に至っては、いまだに70年前の戦争を引きずったままです。当時の第二次世界大戦において連合国軍の中心となっていたのはアメリカ軍であり、中国はその末席に位置していました。日米がこうして仲良く手を携える中、ろくに連合国に貢献していない中国が、先日の抗日70周年の軍事パレードなどのように、反ファシストの功績を大々的に誇示しているのも何ともおかしな話ではないでしょうか。

 今回の日米友好祭を通して、僕はやはり日本の自衛隊はアメリカ軍と切っても切り離せない存在であり、今後、両国はその関係性を強め、中国共産党と対峙するのが日本にとって正しい軍事的戦略なのだろうと実感したのでした。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/杉沢樹)

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