吉田豪インタビュー企画:紀里谷和明「『CASSHERN』ファンもいるのに隠れキリシタンみたいに…」(1) (2/5ページ)

デイリーニュースオンライン

なんで誤解されてしまうのか、教えてほしい

──その結果、ようやく人間性が伝わってきたというか、会ってみると悪い人じゃない、みたいな感じになるタイプだと思うんですよね。

紀里谷 そもそも、なんで悪いイメージがついてるんだっていう(笑)。そこなんですよ、俺いつも言ってるのは、テレビに出てるわけでもなく、何に出てるわけでもないのに、どこでそういうイメージになっちゃったのかというところがそもそも疑問だったんです。

──『しくじり先生』だと、ある雑誌のインタビューで紀里谷さんが日本の映画界を否定したりとか、デカいこと言ったのが嫌われるようになった発端みたいな感じになってましたけど、その雑誌は見てない人のほうが絶対多いですもんね。

紀里谷 でしょ? なんか知らないけど、わけのわからない風説なんですかね。だからイジメられっ子の気持ちがわかりますよ。明快な理由がない、みたいな。

──なんとなくいけすかない(笑)。

紀里谷 なんとなくイジメられちゃう子がいる。それは長年ありましたね。でも、べつにいいやと思ってたんですけど、さすがにここまでになっちゃうと。『GOEMON』のときにも実感しましたけど、いいやって言ってられないんだって思いますよね。

──ホリエモンさんにちょっと近いと思ったんですよ。

紀里谷 ああ!

──ホリエモンさんは「俺のこと誤解するヤツはバカなだけだから」ぐらいの感じで言ってたけど、いざ捕まったりしてみて、誤解は全部解いていかなきゃいけないんだってモードに変わったじゃないですか。

紀里谷 ……とか言いながら、あの人まだTwitterとかでいろいろやってますよね。

──やってますけど(笑)。前よりは気を遣ってますよ。

紀里谷 ハハハハハ! あれで気い遣ってんだ!

──ええ。Twitterでもたまに噛みついたりしてはいますけど、大人になったなと思いながら見てます。

紀里谷 そうですか。僕も個人的に知ってますけど、全然ふつうの人でしたね。

──「会ってみると悪い人じゃない」の典型だと思うんですよ、あの人も。

紀里谷 なんなんですかね、これ。やっぱり合理的にものごとを考える人間っていうのは、ちょっと嫌がられるんですかね。

──もうちょっと空気を読んでくれよ感があるんじゃないですか?

紀里谷 そこなんですよね。ヘタなんですよ。空気を読んでるつもりなの、こう見えても。だけど、なんかズレてるんでしょうね。それがわからないんですよ、ホント。だから逆にときどき疑心暗鬼になっちゃうっていうか、「俺こういうこと言ってみんなニコニコしてるけど、もしかしてこれ違う? ダメなのかな?」「なんか俺、大丈夫なの?」とか、ときどき思うことがあります。

──意外と気にするんですね。

紀里谷 そういうとこ気にするんですよ。やっぱり嫌われたくはないじゃないですか。そう思ってやるんだけど、ホントわかんないんです。

──誤解は多い人だと思うんですよ。

紀里谷 なんでなんですか? 逆に教えてください!

──あいつ、どうせお金持ちのボンボンだろ?的な誤解もあるじゃないですか。実家がパチンコ屋ってことは裕福に暮らしてきたんでしょ、みたいな。

紀里谷 そこも自分じゃそういう意識ホントないんですよ。生まれ育った最初の頃なんて四畳半ですからね、人んちの。

──人んちの!

紀里谷 俺の1コ上の友達がいたの、幼稚園の頃からの。その子の家の1室を借りてみんなで住んでたんですよ。

──それ、かなりの状態ですよ(笑)。

紀里谷 だから、そういう意識まったくなくて。そこから親父が家を建てたけど、すんごいちっちゃい家だったし。俺が15歳でアメリカに行くんですけど、いま考えると1ドル240円の時代ですから、そういうお金があったんだとは思いますけど、ホントに質素ですから。だけど、そう見られちゃうんですね。

──15歳からアメリカで過ごしたのが大きいと思うんですよ。日本的な感覚との微妙なズレが出てきたのは。

紀里谷 その前からもそうなんですよ。その前からズレてるから、ここじゃダメだと思ってアメリカ行っちゃったんですよね。

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