2015年に引退するプロ野球選手140人の去就と第二の人生

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移籍できる選手はわずか10名だ(写真はイメージです)
移籍できる選手はわずか10名だ(写真はイメージです)

現役時代と真逆の世界……プロ野球選手の「引退後」

 今年は140名以上のプロ野球選手が引退、もしくは戦力外通告を受けた。このうち来季の去就が決まっているのは72名。およそ半分は現役続行を希望するか、新たな職に就くかの選択を余儀なくされている(11月30日現在)。

 楽天移籍が決まった広島の栗原健太や、DeNAで新たなマウンド人生に懸ける巨人の久保裕也、ヤクルトで再起を図る坂口智隆(オリックス)のように、新たな移籍先がみつかった選手は10名しかいない。今年の合同トライアウトには47名の選手が参加したが、携帯電話が鳴ったのは鵜久森淳志(日本ハム→ヤクルト)、山内壮馬(中日→楽天)、白根尚貴(楽天→DeNA)、大田阿斗里(DeNA→パドレス・マイナー契約)金伏ユーゴ(ヤクルト→巨人・育成契約)とわずか5名だ。

 また、現役引退を選択した選手のうち、指導者としてユニフォームを着続ける選手もわずかに11名。長年続けてきた野球でメシが食える選手は10%にも満たないのが現実だ。

 打撃投手やブルペン捕手、スカウト、スコアラー、用具係、マネージャーなど球団スタッフとして残れるのは21名となった。

 球団スタッフの場合、球団フロントや首脳陣の言う通りにてきぱき動く選手でなければ、再雇用には至らない。「昨日まで面倒みてきた後輩選手のために動く」職種でもあり、いわゆる“オレ様”で生きてきたベテラン選手には務まりにくいのだ。現役時代の実績が華やかであればあるほど声がかからない、という実情があり、球団も「人間性」を重視して声をかけている。

第二の人生ダントツ人気は飲食店経営だが……

 さて、去就が決まらぬ選手の「第二の人生」は数通りある。独立リーグで野球を続け来年の合同トライアウトを受験するか、高校や大学の指導者を目指すか。はたまた野球をあきらめる場合、就職してサラリーマンに転身したり、現役時代の名前を活かして飲食店を始めることとなる。

 プロ野球選手のセカンドキャリアとして人気が高いのが飲食店経営だ。2012年秋に日本プロ野球機構(NPB)が行ったアンケート結果では「引退後に一番やってみたい仕事」は飲食店開業だった。「現役時代の名前を、ある程度売りにできる」というイメージが強いようだ。

「プロ野球選手に会える店」となれば客足も途絶えない……とイメージしがちだが、意外に難しいのも実情で、多くの店が数年や数ヶ月で潰れている。どの店も“リピーター”を確保できていないのだ。

 プロ野球選手のセカンドキャリアに詳しい元選手が解説する。

「現役時代の名前を看板にしているはずなのに、本人が『オレの店だ』とオーナー然としてロクに顔も出さず、料理の味も普通という店は、概して長続きしません。元巨人の元木大介のラーメン店が3店舗とも相次いで閉店となったのも、人に任せていたからです。逆に長続きするのは、本人が常に店にいて、自ら料理の腕を振るったり、気軽に野球談議をしたり、客との距離が近い店です」

 現役時代は野球さえ上手ければ「王様」でも構わなかった。むしろそれが通じる世界であり、実績を挙げれば必然的に王様になれる世界だった。

 しかし、第二の人生を歩むとなるとそうはいかない。「人に頭を下げられる」ようになることは、プロ野球引退後の「成功のカギ」なのである。

小川隆行(おがわたかゆき)
編集者&ライター。『プロ野球 タブーの真相』(宝島社刊)シリーズなど、これまでプロ野球関連のムックを50冊以上手がけている。数多くのプロ野球選手、元選手と交流がある
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