【出版業界】意外に多い連載・出版中止…作家が路頭に迷うワケ (3/4ページ)

デイリーニュースオンライン

なんとかカネにしよう

 この他にも様々なケースがあると思います。こういった事例は中小出版社に限らず大手出版社でも頻繁に発生します。出版社ひでえな、というのもあれば、出版社も可哀想だな……というケースもありますが、それでも一番可哀想なのはやっぱり作家です。僕たち小説家は執筆に費やした時間が無に帰るだけなのでまだマシですが、漫画家はアシスタントに人件費が掛かっているためより悲惨です。ウン十万の損失が出ます。リアルに死ぬ。

 とにかく全ての出版社に言いたいのは、「ダメなら最初に言ってくれ!」「やると決めたら腹を決めてやってくれ!」です。この業界は契約書を交わさずに口約束で事を進める悪習もあり、出版社は作家に依頼しときながら気軽に企画を潰しすぎなんですよ……。そんな気軽に潰されたら死ぬ。潰すなら最低カネを払って欲しい。カネをくれ。

 でも実際はカネをくれずに、担当編集が平謝りに謝るだけで済まされちゃうので、何とかする方法を考えたいですね。以下は何とかカネを作るための具体的な方策です。

1. 訴える

 検討しただけで実行に移したことがないので実際やったらどうなるのか分かりません。契約書はなくても、メールでのやり取りなどがあれば証拠になるという話もあります。ひょっとしたら少額訴訟でサクッといけるのかも? しかしどちらにしろ、その会社とは今後のビジネスが成り立たないでしょうし、他社からも警戒されそうでリスキーな選択肢ではあります。

2. とにかくカネをくれと言い募る

 少額だったためか一度だけ成功したことがあります。あのお金、ちゃんと経費から出たのかなぁ。担当が自腹切ったのかなぁ。

3. 他の出版社に持ち込む

 一番妥当なのはこれでしょう。捨てる神あれば拾う神ありというやつです。知り合いにフリーの編集者などいれば原稿を預けてマネージメントをお願いするのも良いですね。しかし、編集方針の違いなどもあり、こちらの会社でOKだったものがあちらの会社でもOKというわけにはいかないので、不本意な手直しなどが必要になる場合もあります。

4. クラウドファンディング

 あなたがそれなり以上に名の売れた作家であれば、「陽の目を見なかった作品を完成させたい!」と言って、ファンからお金を集めて制作を続行することができます。ただ、そもそもの知名度がないと難しいかもしれません。

5. Webで掲載する

 非常にシンプルな方策です。自分でホームページを作ってそこに載せておくだけなのでとても簡単。本来の収入は望めないでしょうが、広告などを載せればある程度のお金を稼ぐことができます。やらないよりはマシです。

6. Kindleで自力出版する

 個人的なオススメはこれです。AmazonのKindle独占販売なら印税も70%貰えます。デザインもできるならコストは自分の労働力のみ。僕の「ダンゲロス1969」も結局これで出しました。出版社から出す場合、印税は概ね10%なので、想定売上数の1/7も売れれば収入的にはトントンになります。ただ、実際のところ、電子書籍はまださほど一般性がなく、紙で出す場合に比べて1/10すら売れない可能性があります。あと、電子とはいえ本の体裁を整えるのは意外と大変でして、「編集者って色々な作業で作家の負担を減らしてくれてたんだなぁ……」としみじみ思ったりも。

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