2016年、中国の”大気汚染難民”が日本に殺到? 想像以上に深刻な事態へ (1/2ページ)

デイリーニュースオンライン

深刻化する中国の大気汚染 (C)孫向文/大洋図書
深刻化する中国の大気汚染 (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。現在、中国の各都市は大気汚染に悩まされています。「PM2.5」などの粒子状物質が拡散し、薄汚れた濃霧に包まれた都市の光景は、日本のみなさんもTVニュースなどで見たことがあると思います。そして中国の大気汚染は現在進行形で深刻化しているのです。

 広東省広州市に、「Yさん」という友人が住んでいます。僕は以前からSkypeを使用し、彼と漫画の話などを楽しんでいたのですが、先日連絡した際、僕がしきりに漫画の話題を振ったにもかかわらず、Yさんは全く聞く耳を持たず、広州市の大気汚染の話ばかり語っていたのです。

各地で深刻化する大気汚染

 彼は「私の家のまわりを見てください!まるで仙人が住む土地のようです!」と言って、薄暗い広州市内の写真を僕に見せました。さらに彼は市内の空気から異臭がすると語っていました。人が嗅覚で感じられるほど、空気中の粒子状物質の濃度が上昇しているのでしょう。Yさんには外出時、防塵マスクを装着することを推奨しましたが、彼は中国の防塵マスクはアメリカの「3M」社の粗悪な模造品ばかりだと愚痴をこぼしていました。

 現在のYさんは生命の危険性すら感じているため、漫画の話をするどころではなかったのでしょう。日本の清浄な空気の下に住む僕は、延々と大気汚染の話を語る彼の姿を見て、ある種の罪悪感すら覚えてしまったのです。

 広州市以外からも深刻な大気汚染が報告されています。2015年12月23日、南京市一帯がピンク色に染まりました。中国の各メディアで大々的に報道された南京市の光景はまるでCGで加工したかのような非現実的なもので、中国全土に大きな衝撃を与えました。

 科学者や気象予報士たちは「霧に夕焼けの光が写り込んだ光学現象」などと説明し、重大な問題ではないと返答しましたが、これが中国政府側の指示による弁解であるとは明らかであり、「嘘をつくな!」、「政府は我々の税金でエセ専門家を雇っている!」、といった苦情が中国のネット上に殺到しています。

「新種の汚染物質の誕生だ!早く吸おう!」、「ピンク色の空は南京市の誇りだ!」、「南京の空気を吸ったらバラの香りがするだろう」、「これは最新防空システムだ」などと、今回の現象を皮肉った書き込みも多く寄せられていました。中国国民の大半が国内の大気汚染現象に呆れているのでしょう。

 さらにTwitterに投稿された情報によると、最近の北京市では屋内ですら数時間で防塵マスクのフィルターが灰色になってしまうほど、大気汚染が進行しているそうです。中国国内で工業化が進む限り、今後も似たような事例が発生すると思います。

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