”糖質制限ダイエット”第一人者の訃報に歓喜する「過激ヴィーガン」の大暴走

デイリーニュースオンライン

写真はイメージです
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「糖質制限ダイエット」の第一人者として知られたノンフィクション作家の桐山秀樹氏が2月6日に心不全によって61歳で急死したことが波紋を呼んでいる。死因との因果関係は否定されたが、極端な糖質制限の「危険性」をめぐる議論が巻き起こっているのだ。さらに、肉食を否定する一部のヴィーガン(完全菜食主義者)が過激な言動を繰り広げるなど場外乱闘にまで発展している。

■糖質制限ダイエットはやはり危険だった?

「糖質制限」はご飯やパン、麺類、ジャガイモなど炭水化物(糖質)の多い食品を極力避けることで糖尿病やメタボリック症候群が改善するという食事法。その代わり、肉や魚、野菜など炭水化物以外の食品はいくら食べてもいい。

 桐山氏は2010年に糖質制限ダイエットで87キロあった体重を67キロまで減量し、さらには糖尿病が劇的に改善したと報告。糖尿病を患う仲間たちとともに綴った著書「おやじダイエット部」シリーズが大ヒットし、糖質制限ダイエットが流行するきっかけとなった。

 その一方、2013年に日本糖尿病学会が「カロリーを制限せずに炭水化物のみを極端に制限することは、安全性を担保する科学的根拠が不足している」と指摘。ネット上でも「3ヶ月で10キロ痩せた」「メタボから脱出した」などと成果を喜ぶ声がある反面、「長くやってると体調がおかしくなる」「病院で脳梗塞の一歩手前と診断された」という経験談があった。

 桐山氏は2月5日朝に仕事場がある神戸市のマンションを出発し、翌日朝に東京都内のホテルの室内で亡くなっていた。死因は「心不全」で糖質制限とは無関係とされているが、やり方によっては心臓疾患のリスクを増大させるとの意見も。糖質制限は食事が動物性食品に偏りやすく、脂質の過剰摂取で動脈や血圧に悪影響を及ぼすとの見方があるためだ。

 各局ワイドショーでも「死因は糖質制限ダイエット」といわんばかりの内容がこぞって放送されたため、ネット上で「糖質制限は危険」「節度を保てば効果的」などと議論が起きている。

■過激ヴィーガンが訃報に歓喜…非常識さに批判も

 これとは別に新たな論争の火種が発生している。桐山氏の急死が報じられた直後、驚くことにネット上で訃報に大喜びした人々がいたのだ。

 近年は肉・魚・卵など動物性の食品を一切摂取しない「ヴィーガン」が注目されているが、一部の過激なヴィーガンたちが桐山氏の訃報に反応。

「こういう動物虐待者はもっと苦しんで死ねばよかったのに」
「心不全・急性心筋梗塞なんて動物性食品食べすぎの最たるもの。真似してはいけないよという証明」
「肉食推進者死去。こんな輩に騙される被害者を増やしてはいけない」

 などなど、過激な発言をしたことでネット上で注目され、物議を醸している。

 肉や魚中心の食生活を推進する糖質制限は動物愛護の観点から「悪」として映るらしく、それが一部の過激な言動を呼び起こしているようだ。だが、これに「動物の命は大事で人間の訃報に大喜びって……」「ヴィーガン怖すぎ」「菜食主義は性格が凶暴になるのか」「非常識だ」といった批判が噴出し、本筋とは別に新たな問題として注目されることになった。

■海外では殺害予告まで…過激な言動が問題化

 ヴィーガンの過激な言動は今回に限ったことではない。

 2015年2月、約9年間に渡ってヴィーガン生活を送っていた人気ブロガーの男性が「僕が菜食をやめた理由」と題した記事をブログに投稿し、菜食主義との決別を発表。男性は徹底した菜食主義によって慢性的な体調不良になったことで「菜食は完全に間違いだった」と動物性食品の重要性に気付いたという。

 本人の意志の問題なのだから他人がとやかく言う事ではないはずだが、これにも「許せない」「最低のクズ」などといった誹謗中傷が殺到。男性が「健康的なヴィーガンに出会ったことがない」「マクロビは宗教的」などと綴っていたことも反発の要因にあったのだが、それを差し引いても目に余る誹謗中傷があった。

 本来ならいずれも個人の問題。互いの主義主張に過干渉するべきではないが、なぜか菜食主義や動物愛護に関わる人々はヒステリックになる傾向が強い。

「アメリカではヴィーガン生活をブログに綴っていた女性が同じく深刻な体調不良に陥り、菜食主義との決別を発表すると過激なヴィーガンたちから中傷され、殺害予告まで受けた。動物の命を守るために人間に殺害予告するのはモラルが狂っているようにも感じられますが、菜食主義は宗教的な面があって『自分たちは絶対の正義』と思い込んでいる人が多く、過激な言動は海外でも問題になっています」(元ヴィーガンの男性)

 もちろん常識的なヴィーガンも多いはずだが、どうしても過激な人たちが悪目立ちしてしまう。糖質制限ダイエットの是非から浮かび上がった思わぬ問題に人間の業を感じずにいられない。

夢野京太郎(ゆめのきょうたろう)
芸能から社会問題、ITニュースやヤバいスジの話題まで幅広くカバーするフリーのジャーナリスト。雑誌への匿名寄稿やゴーストライターとしての活動も多く、あまり表舞台には出たがらない性分。
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