過労死寸前!残業時間が100時間を超える長時間労働の実態とは

フレッシャーズ

「残業すれば割増賃金で稼げる!」とうれしそうに話す人もいますが、毎日5時間の残業を続けるとしたらどうでしょう、喜べますか? 月に100時間の残業をするような長時間労働は健康障害を引き起こし、過労死の可能性を高める要因の一つです。また、過労死は中高年だけの問題ではなく、社会人になって間もないビジネスマンにも起きています。ここでは、1ヶ月の残業が100時間の労働環境と過労死の実態について解説しましょう。

■長時間労働による過労が引き起こすものとは?

厚生労働省は過労死の可能性がある残業時間の目安、いわゆる“過労死ライン"を「1ヶ月平均80時間」としています。1ヶ月に100時間の残業をしているとすれば、過労死ラインを超えた命の危険がある労働環境といえるでしょう。

過労が続くと胃潰瘍や腸炎などの消化器系のほか、不整脈や高血圧などの心臓の症状が現れるようになり、心筋梗塞や脳出血、くも膜下出血などで死亡する可能性が高くなります。また、十分な睡眠が取れない状態が続くことによって発症しやすいのが、うつ病(気分障害)などの精神障害です。うつ病になると興味や意欲が低下し、食欲や睡眠パターンが変化することも多く、悲観的な狭い考え方になり自殺を考えることも多くなります。

■過労死は他人事ではない!悲惨な過労死の実態

"""日本の長時間労働の過酷さは「KAROSHI(過労死)」と英語で表記されるほど海外の人にも知られるようになりました。厚生労働省が発表している労災認定件数を通して過労死の実態をみてみましょう。2014年度に脳や心臓の病気で労災認定された人はおよそ280人で、4割を超える120人が亡くなっています。また、ほとんどの人が月に80時間以上の残業をしており、中には160時間以上の人もいました。年齢では50代と40代が多く、合わせると7割以上です。一方、精神障害の場合は1年におよそ500人が労災と認定されていますが、このうち100人近い人が自殺を図っています。精神障害の労災認定では30代が40代とほぼ同じ人数で3割弱を占め、20代も2割強でした。ここで挙げた人数はあくまで労災として支給が決定した人数に過ぎません。長時間労働による過労死の実数は、より深刻になっている可能性があります。"""

■長時間労働の職場ではどんなことが起きているのか!

IT業界は長時間労働が多い職場の一つですが、IT業界で働く人のエピソードとして「トイレ休憩が長い」と話す人もいます。トイレでスマホをしたり、ぼんやりしたり、中には仮眠をとる人もいるなどトイレが貴重な休息の場になっているそうです。また、月の残業が100時間という職場の多くが、昼休みになっても十分に休むことができません。昼食も食べずに働いている、お菓子やパンをかじりながらパソコンに向かっているなど実質的には休憩時間がない状態で深夜まで働き続けるのです。さらに、食事をきちんと摂らないのは胃腸やメンタルの不調で食欲がないということもあるでしょう。メンタル不調では食欲がなくなり、身だしなみもだらしなくなり、心の余裕もなくなるのでイライラして物に当たったり、周囲の人との関係性が悪くなったりすることも多いです。これまで大切にしてきたことも「どうでもいい」と感じ、自分らしさも失い、「死んだ方が楽かな?」と考えることも多くなります。"

■若い人も危ない!過酷な労働環境で疲弊しないためには?

飲食チェーンの店長をしていた男性は、20代前半の若さで命を絶ちました。男性の死後、遺族が起こした裁判の中で自殺につながった要因の一つとして「1日に12時間半以上の長時間労働」が指摘され、判決は会社側の責任を認めるものでした。この男性は多い月には220時間を超える残業をしていたことから、労災としても認定されています。月100時間の残業が恒常的になっている職場では「残業が当たり前」という雰囲気や「仕事が多くて終わらない」「大変なのは自分だけではない」など帰れない理由があるようです。しかし、長時間労働によって疲弊してしまうと正常な判断ができなくなり、選択肢が狭くなっていきます。人に相談することも、仕事を辞めることも、休むことさえできず働き続けた結果、自殺以外に解決方法がないと考えてしまうほど「がんじがらめ」になることが少なくありません。


かつて過労死は脳疾患や心疾患が多く、40代や50代の問題とされていましたが、近年では20代や30代で精神障害を発症する人が増え、若い人も過労死で亡くなっています。残業時間が月100時間というのは過労死ラインを超えた生命の危険が迫る労働環境です。もし、いつもと違う体調不良に気づいても「仕事を休めない」といって受診を先延ばしにしているとしたら“がんじがらめ"になりつつあるのではないでしょうか?

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