全国で相次ぐ強制撤去…都内の”巨大ゴミ屋敷”を直撃してみた (1/2ページ)
ここのところ、ゴミ屋敷に対して行政の代執行が相次いで行われている。3月26日には、福島県郡山市で70代の男性が管理する民家4軒を市職員ら70人が、4時間かけて撤去した。撤去したゴミの総量は、24.3トン。作業費用は200万~300万円で、管理する男性に請求される予定だ。周りに住む人に多大な迷惑をかける巨大ゴミ屋敷が東京にもあると聞いて、現場に足を運んだ。
■隣のマンションの出入り口まで山積みになったゴミ
最寄りの駅は、御茶ノ水駅。オフィスと、住宅街が並ぶ閑静な街だ。ゴミ屋敷のある場所の周りも、住みやすそうな環境である。
現場に着くと、まず駐車場に積まれた、大量のゴミが目に入った。ぐちゃっと適当に積み重ねられた感じ。ゴミのすえた臭いが、ツンと鼻をついた。ゴミは隣のマンションの出入り口の前に、山積みになっている。アパートの住人は家を出るたびにゴミの山を見ることになる。これはたまらない。
ゴミ屋敷のせいで、まわりの地価が下がっているとの噂も聞いた。確かに、いくら御茶ノ水だからと言っても、住みたくない。ゴミの下を見ると、自動車が埋まっていた。古い車で走りそうにはない。車の中には生活した跡があった。どういうことだろう、と考えていると、
「なんだあ、ごらああ!! お前ら~!!」
クレイジーなトーンで怒鳴られた。見ると、ホームレス風の男性が、怒気に満ち満ちた表情でこちらに向かって歩いてくる。持っていた荷物を振り上げ、こちらを牽制している。
「話聞きたかったら、100万円持ってこい!! ふざけるな!!」
と叫んだ後、ゴミ山の中に入っていった。
後に近所の人に聞いたが、ゴミ屋敷のオーナーがホームレスを自動車の中に住まわせているのだという。車の中で寝起きし、車の周りで煮炊きしている。屋外で、しかも大量のゴミの横で、カセットコンロを使って食事を作るのはすごく危ない。乾燥した季節ならば、いつ火が燃え移って、火事になってもおかしくない。
ホームレスが自宅の前に住み着いているだけでもかなり気分はよくないが、火を使っているとなると、おちおち寝ていられないだろう。自動車の周りにはネズミ捕りが設置してあった。ホームレス自身、ネズミが何匹も車の中で繁殖して困っているとボヤいているという。もう最悪である。
そしてゴミ屋敷だが、家の前はゴミで一杯。ゴミの圧力でドアが膨れ上がっている。驚いたことにこれでも、以前に比べたら少しは綺麗になったのだという。区役所に少し片付けるよう指導を受けたということだ。