国によって違う! 世界各国で人気の日本アニメ5選

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日本のアニメは今や世界中で見られていて、作品のそれぞれに熱狂的なファンがいます。日本人としてはうれしい限りですが、では日本製アニメの人気作で国ごとに違いはあるものでしょうか? 近年放送されたアニメより昔のアニメの方に差が出るようです。

国によらず必ず挙がるタイトルといえば、『DRAGON BALL』『NARUTO』『ONE PIECE』『ポケットモンスター』『美少女戦士セーラームーン』『名探偵コナン』『キャプテン翼』『となりのトトロ』『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』『ルパン三世』などなど……テッパン人気の作品だけでも挙げればキリがありません。では特定の国で人気のある作品とはどんなものでしょうか。インターネットで世界中がつながる前に放送された作品で国ごとの事情・志向が出るようです。

●『みつばちマーヤ』

ポーランドやドイツで人気の高い作品です。ドイツ人作家ワルデマル・ボンゼルスの『Die Biene Maja und ihre Abenteuer』(みつばちマーヤとその冒険)という児童文学を原作とし、日本では1975年に放送されました。世界44カ国で放送され、原作者がドイツ人ということで、特にドイツ、ポーランドなどで大人気となりました。アニメのタイトルは『Biene Maja』で、これはドイツ語で「みつばちマーヤ」です。筆者が4ch(掲示板)で聞いてみましたら、ポーランド人で「ずっとドイツ産のアニメだと思っていた」という人がいらっしゃいました。ちなみに同作は2012年にベルギーでCGアニメでリメイクされています。また、2015年にはドイツとオーストリアの共同製作で映画にもなっています。

●『超電磁マシーン ボルテスV』

フィリピンでは国民的人気作となっています。日本では1977年に放送されましたが、フィリピンでは1978年に放送され最高視聴率58%を達成しました。子供たちがあまりにボルテスVを支持するので、その影響を心配する世論が巻き起こり、1979年にマルコス大統領によって放送禁止となりました。フィリピンで同作の続き、最終回までが放送されるのは1986年を待たなければならなかったのです。このときには中止決定をしたマルコス大統領は革命により失脚しており、そのため「ボルテスVを放映させるために革命が起き、マルコス政権が倒れた」という冗談があります。また、1999年には同作のリバイバルブームがあり、最高視聴率40%超えを達成しています。同作の主題歌を歌った堀江美都子さんはフィリピンライブの際にフィリピンの皆さんから熱狂的に迎えられました。

●『百獣王ゴライオン』『機甲艦隊ダイラガーXV』

日本では、『百獣王ゴライオン』は1981年に、『機甲艦隊ダイラガーXV』は1982年に放送されました。お互いに関係のない独立した作品なのですが、アメリカでは『Voltron: Defender of the Universe(ボルトロン)』として一作にまとめられ放送されました。5体のライオン型ロボットが合体する『百獣王ゴライオン』を「Lion Voltron」、15機の乗り物メカが合体する『機甲艦隊ダイラガーXV』は「Vehicle Voltron」として区別されますが、圧倒的に「Lion Voltron」の方に人気があります。パトリック・マシアスさんと町山智浩さん共著の『オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史』によれば、「Lion Voltron」がギャングスタラッパーのアイコンになるほどなのです(これにはラッパー同士の抗争と和解という事情が絡んでいます)。ちなみに、2016年にはDWA(ドリームワークス・アニメーション)制作の新作『Voltron: Legendary Defender』がNetflixで配信されています。同作のシーズン2も2016年中に配信予定。日本では懐かしアニメとなっていますが、アメリカでは今もなお人気作です。

⇒『Voltron: Legendary Defender』の公式サイト
http://www.voltronlegendarydefender.com/

●『UFOロボ グレンダイザー』

フランスで非常に人気の高い作品です。日本では1975年から1977年まで放送されましたが、フランスでは『Goldorak(ゴルドラック)』というタイトルで1978年から1979年まで放送され、視聴率(ただし占有率)は平均で75%、最高100%に達しました。さらに本放送を総集編とした映画も公開され、『Goldorak le grand』という主題歌がヒットしました。同曲はなぜかシャンソン風の曲となっています。

ちなみに同作は中東諸国、アラブ圏でも国民的人気作です。『مغامرات الفضاء (غرندايزر)』(スペースアドベンチャー:グレンダイザー)というタイトルで放送され、各国で大ヒットしました。注目すべきは、フランスのように改題せず、「دايسكي(ダイスケ)」「كوجي(コウジ)」などのキャラクター名も変更されていないことです。同作を見て育ったアラブ圏の皆さんは現在でも「ダイスケ」「コウジ」といったキャラクターの名前を覚えているそうです。

⇒アラビア語版Wikipediaの『グレンダイザー』紹介ページ
https://ar.wikipedia.org/wiki/%D8%AC%D8%B1%D9%8A%D9%86%D8%AF%D8%A7%D9%8A%D8%B2%D8%B1

●『アルプスの少女ハイジ』

日本では1974年に放送されました。高畑勲さん、宮崎駿さんといったそうそうたる面々が制作に関わっていることでも知られる同作は、世界各国へ輸出されヒット作となりました。ヨーロッパ各国での反響はいずれも大きく、特にフランスでは閣僚の一人が閣議をほったらかして放送を見た、という伝説があるほどです。今でもこのハイジを日本製のアニメだと知らない人がいるほどで、4chでは「えっ、日本製だったの!」といった声がありました(ちなみにオーストリア人)。本作の制作前には、高畑勲さん、宮崎駿さんなどキーとなるスタッフはヨーロッパにロケハンに出掛けており、その成果が見事に表れた作品となっています。現在でも日本を代表し、世界中にファンのいる名作です。

子どものときに見てファンになった作品は一生忘れないものです。70年代中盤から日本のアニメはいろんな形で海外へ輸出され、各国の子どもたちに支持されてきました。現在の日本製アニメが世界中で愛されている基盤は、そのような時代に形作られたものといえるのではないでしょうか。

(高橋モータース@dcp)

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