進化か退化か?都知事選が人気投票から脱して”失点合戦”へ|プチ鹿島コラム

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進化か退化か?都知事選が人気投票から”失点合戦”へ|プチ鹿島コラム
進化か退化か?都知事選が人気投票から”失点合戦”へ|プチ鹿島コラム

 都知事選である。舛添都知事の辞任後に「知名度優先の人気投票のような都知事選はもういい」という意見があふれた。たしかに私の知っている限り、都知事選は知名度優先の選挙だった。青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一。皆メディアでも活躍した人たちだ。人気投票より、そろそろまともな都知事選もみたい。

 しかし今回、メディア言うところの与党と野党に関係した「主要3候補」は決め手がない接戦だからか、ネガティブでわかりやすい情報が大きくとりあげられた。まるで「失点合戦」という様相だったのである。

 小池百合子候補はフジテレビ系「バイキング」で、鳥越俊太郎候補に「病み上がりの人」と揶揄した発言を責められ大きく報道された。その鳥越候補は週刊誌に過去の女性とのトラブル疑惑を報道された。増田寛也候補はワイドショー的な失点は無いまま終わるかと思ったら、とんでもないサプライズがあった。自民党本部で決起大会を開いたことろ、応援演説の石原慎太郎氏が鳥越氏を「売国奴」、小池氏を「厚化粧」と言ったのだ。

 もういけない。わかりやすいワイドショー物件である。実際にデカデカと報道され、どう考えても鳥越、小池陣営を奮起させるひと言になった。石原慎太郎の心情も想像できる。息子の伸晃が今回「分裂選挙」を演出してしまったからだ。

「自民党都連会長・石原伸晃の指導力の欠如からなかなか決定には至らない」(日刊スポーツ・7月6日)とまでふつうに書かれ、各世論調査では苦戦を伝えられた。そこでオヤジが応援に出てきた。まかせろ、息子よ。

 すると余計に炎上させてしまった。もし、今回の結果がアレなら、増田候補にとっては伸晃に始まり慎太郎で終わり、石原親子にいいようにかきまわされたことになる。

 そうなると気になるのは石原伸晃&都連幹事長の内田茂都議らの連名で出されたあの文書だ。

 党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならないとして、『各級議員(親族含む)が非推薦の候補を応援した場合は除名等処分の対象となる』という文書を出したことが話題となった。

 結果的に石原慎太郎のあの演説は敵の「応援」になってしまったのだから、石原伸晃にとっては「親族」が非推薦候補を応援したことになる。伸晃は自分を除名しなくてはならないのではないか。そんなことが気になる今。それにしても、こうしてみると主要政党に関係する3候補は見事にネガティブな失点合戦だったことになる。

 今回ひとつだけハッキリしたことは、都知事選はもはや人気投票でもなくなったということである。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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