『カエラー(カエル好き)』に捧ぐ「お台場かえるフェスタ」に行ってきた

デイリーニュースオンライン

本物のかえるも登場!『カエラー(カエル好き)』に捧ぐ
本物のかえるも登場!『カエラー(カエル好き)』に捧ぐ

 約30年の歴史を誇る、かえる愛好家団体・かえる友の会プロデュースイベント「お台場かえるフェスタ」が開催されました。

 かえるキャラが好きな人、かえるの研究者、かえるアート展の主催者、などなど。実物、創作物を問わず、ひたすらかえるについて語り合うという、かえる好きにはたまらないイベントです。

 この日の出演者は、以下の6名。各ジャンルの第一人者が集まりました。(敬称略)
・前田憲男(自然写真家)
・高山ビッキ(カエール大学学長)
・田村風來門(イラストレーター・かえるアートの会代表)
・長井孝紀(慶應大学医学部名誉教授)
・横溝了一(生き物デザイン研究所)
・島崎靖子(かえる友の会会長)

 会場にはもちろん、本物のかえるも登場しました。

■約30年の歴史を誇る「かえる友の会」

 かえる友の会は1987年、埼玉県蕨市にある河鍋暁斎記念美術館(http://kyosai-museum.jp)で開催された 「第1回かえる展」に集まった人たちで結成されました。

 河鍋暁斎(かわなべ きょうさい、1831-1889)は幕末から明治にかけて活躍した、浮世絵師・日本画家です。「風流蛙大合戦之図」「蛙の蛇退治」(共に河鍋暁斎記念美術館蔵)など、かえるを描いた数多くの作品を残しています。

 友の会の会員は現在200名ほど。毎年、かえる展(8月24日まで開催中)やかえる秋祭り(2016年は10月30日)を開催しています。会員の方々によると、「(かえるは)犬、猫と同じで、文化として根付いていますよね」、「しっぽがないので擬人化、キャラクター化しやすいんですよ」とのこと。なるほど、その発想はなかった!

■かえるブームのルーツは縄文時代?

 カエール大学学長・高山ビッキさんより、かえるブームの変遷について。

高山さん「私が考える第1次かえるブームは、縄文時代です」 

司会者「え、そこから始まるんですか?」 (会場笑)

 縄文土器に、かえると思われる絵が。半人半蛙(はんあ)……考古学的に見て、かえるキャラクターのルーツではないか、と考えられます。

 第2次ブームが平安末期から鎌倉時代。鳥獣戯画が有名ですね。「鳥獣戯画って、今の言葉でいえばポップカルチャーですよね」

 江戸時代中期には、伊藤若冲の作品にもかえるが多く描かれています。その後昭和40年代、コルゲンコーワやケロヨン・ピョン吉など、おなじみのキャラクターが登場します。

 1990年代前後にはけろけろけろっぴ、かえるのピクルスなど。2000年前後にケロロ軍曹、フロッグスタイルなどが人気を集めました。

高山さん「このころからやっと、『私はかえるが好きだ』と、堂々と言えるようになったんです」

司会者「なるほど。それ以前は、みなさん大変な時代を過ごされていたんですね」

 そして現在が、第9次かえるブーム、とのこと。ケロレンジャー、かえるの写真集なども登場しています。
「生き物としてのかえる自身が、ブームの担い手として名乗り出てきていますね」

■かえるを集めるだけじゃ物足りない人は、自作に走る

 田村風來門さんから、「かえるアートの会」についての説明があり、様々なかえるアーティストの作品が紹介されました。

 ・かえるオンリーのマンガ「かえるNo.1!」
・かえるの生け花。れっきとした家元による作品です。よく見ると、中にかえるがいます。
・かえるのポーチ。イベントでは30分で完売するほどの人気だそう。
・かえるの帽子、あみぐるみ作品も。
・かえるアイドル(ケロドル?)まで。じつは版画家さんで、ご自身も作品の一部。“かえる娘”として有名なのだとか。

 かえるアート展に出品しているのは、ほとんど素人のアーティストさんだそう。

「かえるって、描きやすい。つまり敷居が低いんですよ」

■新種も発見? 日本のかえる

 生き物デザイン研究所・横溝了一さんは、一日一種という名前で活動されています。

「世界には6000種以上のかえるがいます。そのうち日本にいるのは47種。その半分以上が南西諸島に生息しています」 

 2012年に新種として記載されたサドガエル。佐渡島だけに生息しています。会場には実物が登場しました。お腹が黄色いのが特徴です。

■見たことないぞ、おたまじゃくしの正面顔

 前田憲男さんより本邦初公開(?)、特殊加工で合成したおたまじゃくしの顔面アップ写真。ここからはプチクイズ形式で進みます。

「この親はなんというかえるでしょうか?」 ヒントとして鳴き声も流れました。正解はニホンアマガエル。真正面から見ると「じゃがいも」にしか見えないおたまじゃくしもいました。まさか、おたまじゃくしの顔面アップを見るとは。

 種類によって微妙に異なる顔が面白いですね。

■かえるはお腹で水を飲む

 長井孝紀さん(慶応大学医学部名誉教授)のプレゼン。水辺の生き物と思われがちですが、実は乾燥地帯にも生息しているというお話です。

 この日は、ラスベガスの近くで発見されたアカモンヒキガエルの紹介もありました。

「かえるは口ではなく、水分を透過させる腹部の皮膚を使って水を飲みます。とくに乾燥地帯のかえるの皮膚には、水を通しやすいしくみ(アクアポリン)がたくさんあります」

 口ではなく、おなかから水を飲むとは! これまで知らなかった、かえるの真実がどんどん明らかになります。

 最後に、会場からの質問コーナー。

Q.このあたりで、実物のかえるが見られる場所はどこですか?

A.自然だと、水田があるところとか。ただ夜行性なので、昼は見つけにくいですよ。上野動物園の両生爬虫類館なら確実に、面白いかえるが見られますね。

■いろんなグッズ“かえる”よ!物販コーナーもカエルグッズだらけ

 物販コーナーには、書籍、Tシャツなど、ところ狭しとかえるグッズが置かれていました。売り子さんもかえるTシャツに、かえるのかぶり物です。

 全国に100万人いるという、かえるを愛する「カエラー」。キャラクターから生き物まで。普段あまり意識したことはありませんでしたが、かえるは文化的にも生物的にも、

 私たちにとって身近な存在なのだなと改めて気づかされたイベントでした。

面白いイベント情報サイト『Evenear(イベニア)』
日本・世界の“面白い”イベント情報を探し出し、紹介することを目的としているWebサイト。規模の大小に関わらず、斬新な企画のイベント、思わず人におススメしたくなるイベント、とにかく変なイベントの数々を情報提供しています
公式サイト/イベント情報サイト『Evenear(イベニア)』

(取材/村中貴士)

【関連記事】
「『カエラー(カエル好き)』に捧ぐ「お台場かえるフェスタ」に行ってきた」のページです。デイリーニュースオンラインは、お台場かえるフェスタカエルイベニアイベントカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧