死亡者が毎年続出?明るみになった中国の”軍事的教育”の実態 (1/2ページ)

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中国の時代錯誤な軍事教育について考える (C)孫向文/大洋図書
中国の時代錯誤な軍事教育について考える (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年8月17日、中国・陝西省の高校内で行なわれた軍事訓練中に、参加した16才の男子高校生が熱中症で死亡するという事態が発生しました。当日の現地は猛暑日となっており、中国の気象庁から高温注意報が発令されていました。

■子供たちの命を奪う軍事訓練

 日本と同じく、中国も夏季に入ると各地で30℃を軽く越す真夏日となります。死亡した男子高校生が残した日記によると、軍事訓練は炎天下の最中に行なわれ、学校のグラウンドからはプラスチックが焼け焦げるような匂いが漂っていたそうです。真夏の太陽は学生たちの体力を容赦なく奪い、体調不良を訴える者が続出したそうですが、訓練は中止とならなかったのです。

 中国では中学、高校、大学への進学時に、男女を問わず必ず模擬的な軍事訓練を一週間程度体験させられます。その際、体罰を盛り込んだ過酷な指導が行なわれるため、毎年のように死亡事故が発生していますが、人民解放軍のイメージ低下を恐れる中共政府の情報規制により、この事実は国内で公に報道されません。

 僕が実際に体験した軍事訓練の内容を紹介すると、まず参加者は全員迷彩服を着て早朝4時半頃に市内の軍事施設に集合します。施設内に到着すると教官が吹く笛の音を合図にして、5分以内に全員整列することを指示され、遅刻した者は全員が見ている前でお尻を叩かれます。そして、1時間半程度「気をつけ」、「休め」、「回転」、「パレート(整列)」といったパターン化された運動を反復練習した後、ようやく朝食にありつけます。ちなみにこの時は屋内ではなく、野外で座り込みながら食事をとります。

 そして昼ごろまで同じようなルーティーンワークを数度行った後、夕方の16時からは中国共産党の成立や抗日戦争、そして毛沢東の偉大さを語る「愛国洗脳教育」が行なわれ、18時から再び野外で夕食を食べます。そして20時から共産党賛美歌の「紅歌」を練習するなど再び愛国洗脳教育が行なわれ、21時に消灯します。

 水分をとらずに1時間行進し続けるなど訓練内容は過酷なものばかりです。しかも猛暑日の最中行なわれたため、僕は訓練中に何度も倒れそうになりました。教官のほぼ全員が暴力的な人物で、少しでも規律違反をおかした者には容赦なく体罰がふるわれていました。

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