あの号泣議員が貢献?政務活動費の不正で富山市議会が大混乱|プチ鹿島コラム

デイリーニュースオンライン

Photo by Neta Bartal
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 富山市議会がたいへんなことになっている。政務活動費の不正が発覚し、辞職者が相次いでいる。定数40人のうち8人が辞職することになる(17日現在)。なんでこんなことが「バレた」のか。

 事の発端は、6月に富山市議会が月額報酬の10万円増を決めたことから。つまり、議員の給料を月60万から70万にアップすることを決めたのだ。これを知った市民からはブーイング。

 そして事件が起きた。この件を取材した北日本新聞社の女性記者が、「富山市議会のドン」と呼ばれた中川勇氏に押し倒されて取材メモを奪い取られる事件が発生したのだ。北日本新聞社は情報公開請求をし、お金の流れを丹年に調べたら次々と不正が発覚した。

 政務活動費とは、『議員報酬とは別に視察や研修など政策立案を支援する経費として自治体が支給する公費。月額は富山県議が三十万円、富山市議は十五万円。領収書の添付を義務付けているが、各会派に前払いされている。』(東京新聞・9月14日)

 しかし、「市政報告会」を開いたとして資料の印刷代やお茶菓子代などを請求していたが、そんな会議は開かれていなかったケースが多々あった。「富山市議会のドン」はこれが発覚して辞職。そのほかワープロで領収書を偽造していた議員もいた。

 政務費は前払い。それなら使い切らなきゃ損とか、領収書さえあればいい、という発想になっていたのが垣間見える。

 民進系会派は2013~15年度の3年間で総額約1182万円、自民会派の不正総額は約1297万円分が判明(14日時点)。自民も民進がほぼ同額。ひどい。

 ここで思い出したいのは2年前のあの事件だ。「号泣県議」元兵庫県議の野々村竜太郎事件である。政務活動費約913万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われたあの事件。

 今回の「政務費と地方議員の怪しさ」は、あの事件とまったく同じ。兵庫のインパクトはやはり大きかったのかもしれない。実際、私がラジオ番組で富山の市民団体の人に今回の件を聞いたら、「兵庫の事件以来、政務費にはとくに注目するようになった」と言っていた。

 これで富山以外でも全国で同様の悪さが発覚したり、市民の目が厳しくなれば、あの号泣県議の果たした役割は大きかったことになる。

 野々村竜太郎のおかげで、今後全国で「不正がバレて泣く議員」がドミノ式に増えていく!?

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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