小池百合子都知事にとって”使い勝手の良い駒”になった暴走老人|プチ鹿島コラム

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小池百合子都知事にとって”使い勝手の良い駒”になった暴走老人|プチ鹿島コラム
小池百合子都知事にとって”使い勝手の良い駒”になった暴走老人|プチ鹿島コラム

 石原慎太郎が連日ワイドショーやマスコミに追い回されていますが、そのタイミングが「ウオーキング」の時間。まもなく84歳だから記憶はおぼろげなので取材は勘弁してくれと言いつつ、まだ健康になろうとしてる図々しさは見習いたい。

 石原慎太郎の本当の問題とは豊洲より「あまり登庁してなかった」ことではないだろうか。「俺、都知事の頃は都庁にあまり行ってなかったから全部わかんねえよ」と言わせたら大オチになると思う。その瞬間、まわりにいるマスコミ陣は盛大にひっくり返ってほしい。

 さて、今回の豊洲新市場の盛り土報道でザワッとしたのは「週刊新潮」(9月29日号)。

「地下部分に空間を作らず盛り土の上に直接建物を作る場合と、コンクリートの『地下ピット』を作った今回の場合。両者を比較すると後者の方が衛生的かつ安全であると言えます」という京大大学院の教授のコメントや「地下空間がなければ地震でグラグラ」という項目を紹介している。ますますわからなくなってきた。こういう切り口はワイドショーでも取り上げてほしい。

 一方、「小池知事が豊洲騒動で見せた巧みな情報操作術とは?」(窪田順生・ダイヤモンドオンライン)というコラムでは、「地下ピット」をあえて「地下空間」と表現することで、わかりやすいニュースにした小池百合子の巧みさが指摘されている。

 たしかに「謎の地下空間」と聞けば、我々の世代は「水曜スペシャル・川口浩探検隊」のおどろおどろしさが一気に浮かぶ。でもそれが普通の地下ピットだとしたら、小池百合子のアピール勝ち。豊洲移転延期の決断は正しかったという証明に使えるからだ。

 ただ、それでも今回の地下問題のよかった点をあげると、「誰が、いつ、決めたのか」さえ、ツッコまれたら誰も答えないという歴代の都庁お偉方の体質(しかも世間から怒られそうとなれば、なおさら誰も言わない)が浮き彫りになったことだ。

 これで「なんだか東京都庁&都議会は怪しい」と誰もが感じた。豊洲はひとつの象徴でほかでも何か答えられないことは多々あるんじゃないとも。小池百合子にとっては都議会と闘う都知事というイメージもできた。

 おまけに石原慎太郎が自らの言い訳の為に「東京都は伏魔殿」とダメ押ししてくれた。小池百合子にとっては都知事選圧勝のひとつの要因になった「厚化粧」発言に続く石原慎太郎の多大なる後押しである。

 どう考えても石原慎太郎は小池百合子にとって「使い勝手の良いじいさん」になっている。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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