吉田豪インタビュー:安齋肇「僕はタモリさんの横にいる人って評価で十分」(1) (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

■あの大手メーカーのマークもデザイン!?

──監督デビュー自体、意外でしたけどね。蛭子(能収)さんとか杉作(J太朗)さんとかが映画を撮るのは、ずっと映画が好きだった人だからわかるじゃないですか。安齋さんって、いままで実績としてはPVを撮ったぐらいですか?

安齋 PVと、あとは番組のタイトルとか、長編ってヤツは全然やったことないから。PVは、まあ4~5分の我慢で済んじゃうからね。

──観るほうが我慢すればいいってことですか?

安齋 そうそう(笑)。どんなひどいことされてもさ。でも、今回は80分弱(実際は76分)あるんですよ。短い映画ではあるんだけど、1時間を超えるととんでもないでしょ。

──お金を払って観に行くかどうかっていうハードルは高いですよね。

安齋 でしょ? でも、ちょっとおもしろいよ。お金払ってもらわないのが一番いいんだけど。

──どういうことですか(笑)。

安齋 いや、うそうそ。払ってもらわなきゃ困るけど。初めてだから、その金銭のない関係で観てもらえれば。フラットな気持ちで。とにかく、「こういうのもあるんじゃない?」っていう提案だからね。

──へ?

安齋 俺のなかでは提案ですよ! だから、まず原作があって。

──みうらさんの。

安齋 いろんな解釈のなかで、どこまでやれましたかってことじゃないですか。限られた予算でやってますから、それを思ったら相当おもしろいよ。

──その条件下では相当頑張ったはずだっていう。

安齋 久々に頑張りましたよ。

──「久々に」って、どれくらい頑張ってなかったんですか(笑)。

安齋 いや頑張ってないでしょ。昔、それこそ『ミュージックマガジン』にジャケットコーナーってあったの知ってます? ジャケットのデザインを月に1枚取り上げて、立花ハジメさんが書いてたんですよ。レコードジャケットの仕事している以上、1回だけそこに出てみたいなと思って、そのときは努力した。

──相当前じゃないですか(笑)。

安齋 すっごい前。あのときは必死になって頑張りましたよ。

──もともと洋楽のジャケをやりたかった人ですからね。

安齋 もともとはね。

──なんでドリフのヒゲダンスの裏ジャケをやってるんだと思いながら。

安齋 いや、そんなことないですよ、ヒゲダンスもおもしろかった。だって俺、おまけしかやってないんだもん。すっごい気が楽じゃないですか。

──昔からそういうスタンスなんですね(笑)。

安齋 だって関係ないんだもん。デザイン事務所のアシスタントをやってるときに、大きい仕事を事務所でやってて、それで「あ、マークを頼むの忘れた! もう時間ないからとりあえず安齋君がマーク描いといて」って言われて象のマーク描いたの。

──安齋さんが象印のマークを作ったのは知ってましたけど、あれ発注ミスだったんですか(笑)。

安齋 ミスじゃないんだよ、忘れてただけで。ホントはセンテンスなんとかの表紙を描いてるような人に頼もうと思ってたんですよ、長く使わなきゃいけないものだから。でも、そんな人に1週間ぐらいの締切で頼むようなことはできないっていうことで、「とりあえず」と。それがそのままみたいな。

──『クイズヒントでピント』でも使われるぐらいのキャラになって。

安齋 ブラウン管からビョーンと出てくるようなことになったんですよ。すげえなと思ったけど。ヒゲダンスのときも「あ、歌詞がない!」って。

──歌詞カードに載せるものがない(笑)。

安齋 そう。「歌詞カードに歌詞がない! どうする!?」ってところから始まったんだよな。「じゃあ、おまけつけますか?」って。

──ちゃんとしたジャケって何やってるんですか?

安齋 うるさいなあ!

──ダハハハハ! 知りたいんですよ、調べてもあんまり出てこないんで。チラシとかやったっていう情報は出てくるんですけど。

安齋 チラシって……情けねえなあ。ジャケットは出てない? ジャケットは結構やってる。吉川晃司さんのアルバムとか。

──ああ、特色を使いすぎて怒られたってヤツですね(笑)。

安齋 それで印刷屋さんと大ゲンカになってさ。必死な頃だから、なんとかデザインのコーナーに出たかったから。あとは白井貴子さんのやったり、いろいろやってるよ。洋楽もストーンズのラジオのインタビューのヤツとか、キンクス、T-REXとか日本盤はやってるんだよ。オリジナルで僕が絵を描いてるんだよ、ひどいでしょ?

──自分でもそう思うんですか(笑)。

安齋 だって自分でデザインの仕事をもらっといて、イラストレーターに頼まないで自分で描いちゃうんだから。あんまり有名なジャケットってないんじゃないかな。シングルだとチェッカーズの『WONDERER』、あとユニコーンの『大迷惑』、縦長のね。

──短冊のCDシングル。

安齋 うん、どうにもなんない短冊の。だからデザイナーとしてはたいしたことないんですよ。

──またそうやって自虐が始まる(笑)。

安齋 いやホントにホントに。

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