偉大な作曲家モーツァルトが一般庶民と同等な埋葬をされた理由とは

心に残る家族葬

偉大な作曲家モーツァルトが一般庶民と同等な埋葬をされた理由とは

キリスト教宗派を代表するものにカトリック(ローマ教皇:神父)と、プロテスタント(カトリック教会から分離した新教:牧師)があげらます。キリスト教式の通夜や葬儀は、通常、礼拝に通う教会で行なわれ、カトリックでは「通夜の集い・通夜の祈り」といい、プロテスタントでは「前夜祭・前夜式」と呼ばれています。特にカトリックにおける最も大切な典礼儀式にミサがあり、その典礼で演奏される重要な曲に「レクイエム」があります。「レクイエム(Requiem)」はラテン語で「安息を」を意味し、亡くなった者の安息をキリストに願う為に作曲されたものです。

■当時、それがごくごく普通の葬儀慣習だった

モーツァルトの遺作は奇しくも「レクイエム」になりました。モーツァルトを描いた映画『アマデウス』(1985年)で、モーツァルトが埋葬されたシーンがあります。クラシックの天才的な作曲家が手厚く埋葬されたというよりは、多くの亡がらと同様に、幅広く深く掘られた「大きな穴」に麻で編まれた袋に入れられて、そのまま投げ込まれ石灰をまいて埋めるシーンでした。

モーツァルトがなぜそのような粗悪で質素な葬られ方だったのでしょうか。最晩年の経済状態は厳しく埋葬するお金がなかったから?これは経済的な理由でもなく、モーツァルトだったからでもなく、当時は、ごくごく一般的な庶民等級に合わせた埋葬の仕方だったのです。そもそも宗教上の聖職に就いている聖職者や、貴族・王以外は、自分の墓を持つという習慣はまったくありませんでした。

映画のシーン同様に、モーツァルトは多くの亡がらと共にウィーン郊外の聖マルクス霊園に葬られました。死後モーツァルトの名声と作品の評価が高くなるにつれて、お墓を建てようという機運が高まり、聖マルクス霊園で埋葬されたと思われる墓碑をモーツァルト没後100年が経った1891年にウィーンの中央墓地に記念碑として移転しました。

■最後に…

モーツァルトの遺作となった「レクイエム」をショパンは生前から自分の葬儀には「この名曲を」と語っており、またベートーヴェンのミサでも演奏されたと伝えられています。

宗教観や、クラシックだから、というこではなく、素直に一度はゆっくりと聴いて欲しい名曲です。「鎮魂歌」と訳される「レクイエム」は人々にとってのヒーリング・ミュージックであり、聴くことで心のデトックス効果が感じられることでしょう。

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