【プロ野球】《甲子園球場スタンド百景》おかしくて愛すべき甲子園の阪神ファンたち ~ビール編~ (1/2ページ)
「あっ、やられた!?」
甲子園球場のスタンドで観戦中、足元がじんわり濡れているのに気づいたときはもう遅い。
上段で誰かがこぼしたビールが、階段を伝って流れ、カバンが、べちょべちょ。こんな経験をされた方は多いのではないだろうか。
「すんませ~ん!」
上段席から迷惑をかけた下段の御仁に声が飛ぶ。「すんませんやないわ」と内心、誰もが思いつつも、特に文句を言うこともなく、せっせと濡れたカバンを拭いている。
よく見慣れた光景ではあるが、こんなビールこぼしにも、いろいろなドラマがあるから面白い。
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■ビールこぼしに見るお客さん同士の連携
2010年の春に大改修を終えた甲子園球場。
アルプススタンド、外野席には座席の下にドリンクホルダーが備えつけられたものの、ゲームに熱中してくると、ついつい自分の座席にビール入りの紙コップを置いて立ち上がったのを忘れ、座った瞬間ひっくり返してしまうことがある。
ただ、球場に頻繁に通っていると、「やった経験」も「やられた経験」も持ち合わせているためか、「お互い様」といった雰囲気で、こぼれたビールで濡れて怒る客をほとんど見たことがない。
むしろ、大量にこぼしてしまうと、周りが気遣いを見せる。下段の人に知らせる人、球場係員から新聞紙をもらってくる人、トイレに駆け込みトイレットペーパーを持ち出してくる人……。お客さん同士の連携がすばらしいことに驚かされる。
おかしくて愛すべき阪神ファンたち。いや、これは関西人気質の表れといえるのかもしれない。