女子中学校の生徒の半分が…深刻の度を増す北朝鮮「薬物」汚染 (1/2ページ)
2016年の北朝鮮を振り返る(14)
米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によれば、今年8月27日、ニューヨーク連邦地裁の法廷で4人の被告人の男らが、自らの罪を認めたという。
売春女性の破滅男らはそれぞれ、イギリス、台湾、フィリピン、チェコの国籍を持ち、2013年9月にタイで、現地捜査当局により拘束された。
この国際色豊かな犯罪劇の主人公たちに問われた罪は、北朝鮮製の覚せい剤100キロをニューヨークに密輸しようとした、というものだ。一味にはもうひとり、イギリス人の仲間がいて、ほかの4人とともに拘束・起訴された。彼らのその後の運命についてVOAは、短くとも懲役10年、長くは終身刑を免れないだろうとしている。
彼らが捕まったのは、米麻薬取締局(DEA)のおとり捜査に引っかかったからだ。香港の犯罪組織のメンバーである台湾人の男とフィリピン人の男は、DEAの協力者である薬物ブローカーに対し、次のように明かしたという。
かつて北朝鮮の覚せい剤を扱える組織は8つあったが、北朝鮮当局が薬物製造から撤退したため、現在では自分たちだけが残った。自分たちは「商品」を1トン、フィリピンに備蓄してある――。
犯人グループは96~98%もの高純度の見本を米国に送った。商談は進み、覚せい剤100キロがフィリピンから中継地のタイに運ばれた。チェコ人の男が武装バイカーを動員して運送を護衛し、現地ではイギリス人の男たちが覚せい剤を管理。代金の決済のため、台湾人とフィリピン人がタイに入ったところで、一味は一網打尽にされたのだ。
日本では1990年代に猛威をふるいながらも、今では昔話になった観のある北朝鮮製覚せい剤の密輸問題だが、国際的には決して終わった話ではないことを示すエピソードと言える。今年10月にはフィリピン下院の聴聞会で、国内の刑務所で流通する覚せい剤の相当部分が北朝鮮製であるとの証言も飛び出した。
しかし何といっても、最もひどいのは北朝鮮国内の状況である。