【プロ野球】《甲子園球場スタンド百景》おかしくて愛すべき甲子園の阪神ファンたち ~応援ユニフォーム編~ (1/2ページ)
甲子園球場のスタンドは、いつでも華やかだ。
阪神ファンが観戦時に思いを込めて着用する応援ユニフォーム。黄色あり、黒あり、ピンクあり。色はもちろんのこと、ユニフォームに刺繍されたメッセージも個性的であり、独創的であり、まさに自由奔放である。
しかし、言い換えれば、みんなバラバラ。全体の調和などおかまいなし。
「自分の好きなものを着る」。悪くいうと、そういうことになる。
他の11球団の応援ユニフォームは、ホーム、ビジターの違いはあるもののほぼ統一され、違いといえばお気に入りの選手の背番号をつけることくらい。
ではどうして、阪神ファンはこうなのか。
おかしくて愛すべき甲子園の阪神ファン。今回は応援ユニフォームから探ってみた。
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■応援する選手のユニフォームを着るのは命がけ
阪神ファンが着用する背番号のついた応援ユニフォーム。お気に入りの選手を着用し応援するのは、ごくごく当たり前のことだ。
ただ、このお気に入りの選手がレギュラー選手でなく、数少ないヒーローインタビューなど受けようものなら、大変なことになるのが甲子園だ。
甲子園球場から阪神電車の甲子園駅までは、数百メートルの距離。この間を移動するときに少なくとも5、6人の人から声がかかる。
「今日はありがとう」
「明日も頼むわ!」
このくらいなら、愛想笑いで済む話しだなのだが……。
「うわっ! 握手してぇ~」
「ユニ、触らしてぇ~」
大阪のおばちゃんが、見境もなくやってきて、触っていく。
「俺はビリケンさんやないわ!?」
こう言い返したくもなる(ビリケンさんとは、大阪の通天閣にある像で、足を掻いてあげるとご利益があると言われている)。
反対に、お気に入りの選手のミスで負けたなんてことになれば、気づかれないように応援ユニフォームを脱いで、球場を後にしないと「えらいこと」になるのは想像できよう。
選手とその選手を応援しているファンは完全に「イコール」という方程式が、なぜか阪神ファンには成立しているのだ。