金正恩体制を「ネットニュース」が崩壊に導く…北朝鮮外交官、脱北記者の記事に涙 (1/2ページ)

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金正恩体制を「ネットニュース」が崩壊に導く…北朝鮮外交官、脱北記者の記事に涙

金正恩体制がインターネットの情報によって、大きなダメージを受けていることが明らかになった。

8月に韓国に亡命したことが明らかになった元駐英公使のテ・ヨンホ氏が27日、ソウルの政府庁舎で開催された記者懇談会で「北朝鮮の外交官がパソコンで最初に開くのが韓国聯合ニュースのサイト」と述べた。聯合ニュースは、韓国を代表する通信社だ。

LINE使えば処刑

テ氏は、「聯合ニュースの北朝鮮欄には、韓国と外国メディアが北朝鮮に関し報道したことが掲載されているから」「(外国機関などとの)接触の事前準備のため、敵(各国)がわれわれをどう見ているかが出ている」と説明。さらに、外交官らはスマートフォンに聯合ニュースのアプリを入れてニュースをチェックしているという

外交活動をするうえでの情報収集は基本であり、言われてみればさもありなんだが、元外交官の口からこのように詳細な事実が明かされる意味は大きい。金正恩氏は、LINEやカカオトークなどのコミュニケーションアプリに対する警戒を強め、「使用している住民を見つけ出し、反逆者として逮捕せよ」という指示を出しているが、こうした実情を反映したものかもしれない。

さらに、テ氏は興味深い証言をした。韓国の有力紙に務める脱北者の記者の実名を挙げながら、「記事を読んで涙を流したことは一度や二度ではない」と語った。その記者とは、以前本欄でも紹介した東亜日報のチュ・ソンハ氏だ。

チュ氏は、人民の生活水準向上に一切のリソースを割かない金正恩体制を批判しながらも、貧しさゆえに売春を行う北朝鮮女性たちの多くが、覚せい剤を常用している悲しい現実を伝えている。チュ氏が伝える北朝鮮の庶民たちの悲惨な実情に、テ氏だけでなく家族も涙を流しながら心を揺り動かされたという。

当たり前だが、エリートだからといって、北朝鮮国内の全ての情報にアクセスできるわけではない。とりわけ外交官などは、海外赴任も多いことから、一般庶民の実情を知ることは困難だ。彼らがチュ氏や韓国の脱北者が発信する生々しい情報に触れ、体制に疑問を感じるのはごく自然なことだろう。

脱北者という経歴を生かしたチュ・ソンハ記者の面目躍如といったところだ。

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