「大使を国外追放せよ」マレーシアで対北朝鮮感情が悪化

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「大使を国外追放せよ」マレーシアで対北朝鮮感情が悪化

北朝鮮と長年、友好関係を築いてきたマレーシアで反北朝鮮感情が高まっている。きっかけは言うまでもなく、北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件だ。

とくにマレーシア駐在のカン・チョル北朝鮮大使が「マレーシアの捜査は信用できない」などと述べたことが、火に油を注ぐ形となっている。

マレーシアのナジブ首相は21日、「カン大使の発言はいわれのないもので、外交上、無礼だとみなされる」と北朝鮮を批判した。

ナジブ首相は20日に、「事件を北朝鮮の仕業だと責め立てる理由がない。北朝鮮には、マレーシアの法律を適用するということを理解してほしい」と慎重に述べていたのと比べると、発言レベルを高めていることが伺える。

一方、アマン外相は20日、「マレーシアを深く侮辱している」と強い口調で抗議した。

こうした中、マレーシアの英字紙、ザ・スターは、Facebookに掲載されたカン大使の発言に対するマレーシアの人々の怒りの声を伝えている。

マラブ・バラム氏は「マレーシア警察は、マレーシアの地で殺人事件をマレーシアの法律に基づいて捜査する権利を持つ、北朝鮮は干渉できない」と反発。

ナプシアー・ワン・サレー氏は「マレーシアの主権を侵害しようとするカン大使は国外追放されるべきだ」と強く批判した。

さらに、デービッド・タイ氏は「彼らと付き合っている暇はない」と北朝鮮との断交まで主張した。

一方、独立系のネットメディア、マレーシアキニは同社に寄せられた読者の声を伝えているが、その内容はやや趣きが違っている。

インド系マレーシア人のビジャイさんは「北朝鮮が人権侵害を云々するとは笑止千万」「『偉大なる天上人』の金正恩氏に、国家元首にふさわしいマナーを保つことをアドバイスすべきだ」としつつも、「マレーシア警察がマレーシア国民、特にインド系の人を扱う方式で、あなたがたを扱わなかったことに感謝すべきだ」と述べている。

マレーシアのテレビ、ラジオ、新聞は、政府または与党系の企業が所有していることから政権批判を行わないが、独立系メディアは、金正男氏殺害事件を機会に、ここぞとばかり政権批判を展開しているわけだ。

ちなみに、今回の事件を受けて対北朝鮮感情が悪化しているのは、マレーシアだけではない。

事件捜査の先行きはなお油断を許さないが、北朝鮮が東南アジアにおいて、多くのものを失うのは確実と見られる。

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