世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第213回 日本はカジノの最高の市場だ! (1/3ページ)

週刊実話

 安倍政権が昨年12月にカジノを中心とするIR整備推進法(カジノ法)を成立させたことを受け、世界のカジノ王たちが続々と来日。日本市場に「期待」を寄せている。
 カジノ運営大手、米ラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン最高経営責任者(CEO)兼会長は、2月21日に『CLSAジャパンフォーラム』において、
 「東京は(カジノの)最高の場所だ」
 と発言。わが国で統合型リゾート(IR)施設を建設できるならば、最大100億ドルの投資を行うと明言した。

 ラスベガス・サンズは、すでにシンガポールでマリーナベイ・サンズというカジノを経営している。アデルソンCEOは日本市場について、
 「究極のビジネスチャンスだ。シンガポールはこのための“前座”にすぎなかった」
 と断言。日本国民の所得を「奪いにいく」ことを露骨に宣言した。

 「建国の父」と呼ばれた政治家リー・クアンユーは、シンガポールにおけるカジノ建設に大反対していた。真の意味で「国民」のことを考える政治家ならば、国民を蝕むことが明らかなカジノ建設に反対しない方がおかしい。
 シンガポールはサンズにカジノ建設は認めたが、
 「シンガポール国民は入場料100シンガポールドルを支払わなければならない」
 という厳しい制約を掛けた(外国人はパスポートを見せるだけで入場できる)。
 100シンガポールドルは、約8000円になる。さすがに入場料8000円では、シンガポール人のカジノ利用者は極端に少ない。

 先日、筆者は実際にシンガポールのマリーナベイ・サンズを視察したのだが、客の8割以上は「中国人」であった。日本人や欧米人は、驚くほど少なかった。
 結局、シンガポールのカジノは地元のシンガポリアンではなく、中国人富裕層からカネを巻き上げるための施設なのだ。入場料で国民の利用を制限し、主に外国人から所得を頂く。シンガポールのやり方は、カジノの経済合理性と国民の保護をハカリに掛けた妥協の産物なのである。

 例えば日本にしても、沖縄経済の振興のために沖縄特区を設け、日本人入場不可のカジノが併設されたIRを創るというならば、まだしも理解できる。と言うより日本のカジノ解禁とは、もともとはそういう話だったのだ。

「世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第213回 日本はカジノの最高の市場だ!」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧