【プロ野球】明けましておめでとう? 関東に暮らす広島ファンの聖地・神宮球場での「開幕戦」をレポート (1/2ページ)
4月21日、ヤクルト対広島の4回戦が開催された。長いリーグ戦においては、ただの1試合かもしれないが、関東の広島ファンにとっては、この1戦は非常に重要な意味がある。
何故なら、今シーズン初の神宮球場での試合だから。関東の広島ファンにとって、神宮球場は聖地なのだ。広島ファンの筆者が、待ちに待った「聖地開幕戦」のレポートをお届けする。
■赤く染まるレフトスタンド
今シーズン初の神宮球場での試合に関東の広島ファンは興奮を隠せずにいた。開幕から半月以上が経ち、ようやく関東の聖地・神宮球場で生の試合が見られる。その喜びは、自由席の入場券を求める長蛇の列が物語っていた。
平日の昼下がりにも関わらず、その列は隣接する神宮第二球場を遥かに超えて伸びていた。これは、開幕ダッシュを決め、リーグ連覇が現実のものとして感じられる喜びの表れでもあるだろう。
ちなみに、関東での広島戦はすでに4月11日から13日にかけて、東京ドームで巨人を相手に行われていた。
しかし、先述した通り、関東の広島ファンの聖地はあくまで神宮球場。その理由は諸説あるが、近年の広島人気の火つけ役が関東の広島ファンであり、神宮球場には不人気時代からファンが大挙して駆けつけていたことが大きいといわれている。
また、神宮球場の方が、東京ドームよりもホームとビジターの色分けがはっきりしている。他球団を過度に敵視しないヤクルトファンの温厚な気質も手伝い、敵地ながらホーム感が強いのだ。
これらの理由から、神宮球場が関東の聖地とみなされるようになった、という説が有力だ。決して、東京ドームでの戦績が悪いことが、東京ドームを聖地としない理由ではないと思いたい……。
ほどなくして関東の聖地は、試合開始数時間前にもかかわらず真っ赤に染まっていた。
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■明けましておめでとう? 聖地開幕戦で今年の初顔合わせ
壮絶な席取り合戦を終えた広島ファンは試合開始までひと時の休息。それぞれがのんびりと雑談に花を咲かせている。
ここで気になったのが、10数人はいるであろう、あるコミュニティのファンたちが口々に「明けましておめでとう」と、挨拶を交わしていたことだ。
4月も下旬にさしかかったなかでの新年の挨拶にはいささか違和感を覚えたので、気になってしまったのだが、昨シーズンが終了してから直接、顔を合わせる機会がなかったのだろう。
野球に興味のない方からすると、「野球のみのつき合い=希薄な間柄」に見えるかもしれない。しかし「広島」と「神宮球場」と起点に10数人も集結するくらい縁が深いともいえる。実は、その絆は強く、太い。聖地・神宮球場にはそれだけ広島ファンを惹きつける魅力があるのだ。
この日は、神宮球場をきっかけにつながっている彼らのようなファンが多く訪れたことだろう。
広島ファンと神宮球場に乾杯! ということで、筆者お気に入りの神宮球場名物(?)の瓶ビールを流し込み、いよいよ「聖地開幕戦」の火蓋は切られた。