築地市場の”汚染状況発覚”で都議会選挙の混迷に拍車|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■都議会選挙は必至か

 その豊洲市場への移転問題を巡っては、小池百合子都知事(64)が率いる「都民ファーストの会」は都議会選挙において争点にしないという方針を打ち出し、物議を醸しております。それまでなぜか小池女史に寄り添うように展開してきた共産党や、選挙協力体制を図ってきた公明党も、豊洲移転問題に関しては徐々にスタンスを小池女史と分けつつあるのが現状です。

 かねてから指摘されてきた通り、築地市場は老朽化が激しく危険であるだけでなく、今回予想通り汚染が広がっていることが分かった以上、本来であれば労働環境を改善するためにも最新鋭の豊洲市場への移転を求めるのが本来の労働組合じゃないのかと思います。

 一方で、築地での営業にこだわる仲卸業者の過半が債務超過状態であることはかねてから分かっている話ですから、これ以上都税を無駄にしないためにも経営不振の仲卸業者には都税による補償ではなく廃業を求め、産業の集積化と市場の近代化を図るべき時期に差し掛かっているのでしょう。

 そういう議論はもう半年以上前から行われてきたわりに、いまなお小池女史がこのネタを引っ張る理由は、やはり決断がむつかしいからに尽きるでしょう。本来はどちらかと言えば右派的な言動が多かった小池女史が、都知事に就任し豊洲問題を取り扱うようになってから従来の支持層だけでなく、左派、共産党も小池女史にぶら下がるという、いわば小さな翼賛体制となって、自民党との対決姿勢を鮮明にすることで政治改革の旗手としての期待を集めるという作戦に出て成功してきました。

 しかしながら、都民向けの意識調査でも年が明けてからぐっと豊洲移転賛成にシフトする状況下で、いまなお豊洲問題に関する態度を保留にして都税が無駄遣いされてしまう現状が知られ始めると、やはり小池都政のイメージだけでなく結果部分で評価が下されるところはあるかもしれません。

 ここにきて、都民ファーストの会自体も、民進党所属都議や組織の合流だけでなく、使われる都民ファーストの会の予算がおかしいのではないか、立候補予定者の選挙資金の一部となるべき公認料も払われていないのはおかしいのではないかという議論が出始めてきています。

 いろいろとボタンの掛け違いが表面化していく中で、向こう40日ほどで実施される都議会選挙がどのような結果になっていくのか、興味深く見ていきたいと思っています。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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