小池百合子女史の「都政立ち往生」”対決姿勢”でどこまでやれるか|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

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■小池女史のパフォーマンス

 その最たるものが、今回の豊洲新市場への卸売市場の移転問題です。

 結局、小池百合子女史の「立ち止まる」まではまあ何とかそんなものかなと言えても、その先の、小池個人が組成したようなプロジェクトチームによる検討は、単純に共産党の流したガセネタの上に立脚するようなものとも言えます。共産党かて、騙すつもりもなかったのでしょうが、蓋を開けてみれば盛り土も建築強度も地下水の汚染も問題にはならないことばかりで、それであればなぜ立ち止まったのか、いまのいままで問題を引っ張り、都議会選の直前まで決められることなくこんにちまで来てしまったのか、という批判に晒されることにはなります。

 翻って、小池都政の内容を見るに「彼女が騒いでいること以外はそれほどまずい混乱は起きていない」ということでもあって、都庁関係者からすると「小池都知事が(うっかり興味をもって)関心を持たないように腐心する部分はある」という状況でもあります。実際、小池女史が口を出し始めるとすったもんだしてしまうことを怖れてのことでしょう。

 また、小池女史がある種の有害さを持っているとしても、それとは別に彼女はとても聡明な部分もあるのです。これが、一番困るところでもあるのですが、仕事に関しては少なくとも熱心な政治家であり、問題意識をクリアにするために人を巻き込んでいくという基本動作はものすごくきちんとできる人物であることは言うまでもありません。逆に言えば、その歯車がいったん間違った方向に動き始めると、謝罪できない、泥を被れない小池女史が自分から勝負を降りることがむつかしくなります。

 だからこそ、都庁関係で言うならば、もともとたいした問題のなかった人物が更迭されたり、豊洲移転の最終決済者は舛添要一前都知事なのにどういうわけか石原慎太郎元都知事(84)が百条委員会に呼ばれるという事態に陥ったりします。いわば小池女史のメンツを保つために解体ショーの具にさせられてしまった格好でしょうが、問題が一つひっくり返るごとにこのような大見得を切るようでは周りがどんどん傷ついていってしまいます。

 そして、五輪については失敗できない状況の中で、ようやく築地移転が決まっても、今度は五輪輸送問題の根幹である2号線建設が間に合わないという問題が迫ります。ここでまた、誰かに責任を負わせることになるのでしょうか。

 この問題についてはやはりきちんと見ておく必要があると思うんですけどねえ。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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