SMAP独立組3人に向けたジャニー喜多川コメントの真意とは?|平本淳也のジャニーズ社会学

デイリーニュースオンライン

Photo by Pixabay(写真はイメージです)
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 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の元SMAPメンバー3人のマネジメント契約終了に伴う知らせがジャニーズ事務所から発表された。今回はジャニー喜多川さんが代表取締役社長として報告の大部分を担っているのが印象的だ。

 なぜジャニーさんがコメントを出すのか。これはジャニーズ事務所の対応や考えを伝えるチャンスでもあったからだ。少なくともここ最近のSMAPに関しては"批判されるジャニーズ"という悪役の立場を強いられていたが、本人たちの意向を尊重して温かく見送る応援者であることを認識させたかったのだろう。

 しかし、ジャニーさんが変わらない思いで応援していくというアピールは正直、疑わしい。去る者は追わない美学を貫くジャニーズの考えはジャニーさんの性格そのもので、出るのも辞めるのも、すべてはジャニーさんの態度や一言で決まってきた。一旦背を向けたら二度と振り向かないジャニーさんが、自分のところを去った者を変わらずに思い続けるということはない。

 しかし、それと同時に辞めていく3人を業界から干す、といった圧力をかけることもない。これまでのジャニーズのイメージがそうさせているのか、皆が思うようなそこまで悪い事務所ではないし、辞めた個人を追いかけて気に掛けるほど小さい会社でもない。辞める3人の番組が終わることについては必然だ。契約は会社対会社で行われるものであり、所属や管理が切れれば仕事も終わるのが契約社会だ。ジャニーズが番組を打ち切らせて圧力をかけているような論調の報道は馬鹿げています。

 ジャニーズを辞めるということは、一般社会に例えると大企業を退社するに近い感覚だろう。ネットニュースでは、鬼だ非道だと言われるジャニーズ事務所だが、実際は30〜40代の高齢ジャニーズにもそこそこの金額の給料をしっかりと払い続けるタレント思いで面倒見の良い事務所という側面がある。これはメリーさんの所属タレントたちへの愛情深さに由来している。

 ジャニーズ事務所は、単なるアイドル事務所ではない。相当の資産を持ち、それを運営して確実な利益を輩出し続けられる日本でも有数の優良企業であり、オリジナルのエンターテイメントを豊富に生み出すコンテンツホルダーだ。不安定かつ水モノで浮き沈みが激しい芸能プロダクションではない。その金融価値は計り知れない。

 タレントプロダクションは業態そのものに安定性がなく常に上下左右するものだが、運営を継続して安定させるためにスクールを併設したり店を持ったりと裾野を広げる傾向も多く見られる。要するに芸能だけでは限界がすぐに見えてくるのだ。

 しかし天下を不動としたジャニーズはその名の通り、不動産の所有資産が物凄いうえ、音楽版権の管理収入だけでも日本有数の売り上げを誇る。そうした真のエンターテイメントの成功者であるから、芸能界のみならず大企業のトップから政治の世界まで広い交流を持っている。それもすべてジャニーさんとメリーさんの優秀さによるものだ。

 そんなトップが君臨する会社が所属タレントにひもじい思いをさせることはない。ジャニーズにいれば少なからずその報酬に関わることができる。今では大御所の近藤真彦や少年隊の面々、光GENJIで残ったメンバー、男闘呼組の元メンバー、さらには中高年齢化したジャニーズJr.たちなど、彼らは古き良き日本的な企業の”年功序列”によって生活ができているのだ。

 表立った仕事がなくとも、たまにしかテレビに出ない程度でも相当の収入を保証し、また全く仕事をしていないタレントにも保証した給与は払い続ける。こうしたやり方を他は真似できない。ジャニーズを知っていれば理解できることだが、タレントからすれば大企業の社員のような立場で面倒見も良いのであれば、簡単には離れたいとは思わないのだ。

 そんな巨大エンターテイメント産業であるジャニーズ事務所が、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾を芸能界から干すために力を注ぐようなことはあり得ない。ジャニーさんが手塩にかけて育てたSMAPという唯一無比のアイドルグループが解散し、3人が事務所を離れていくことに悔しさと悲しさあったにせよ、SMAPの版権売り上げも継続して続くことから、彼らの行く手を妨害しようとも思わない。言い方を変えたら、こんなことで揺らぐジャニーズ事務所のではないということだ。

 話は余談だが、芸能プロダクションが不動産所有するのは珍しくないが、それが事務所内紛のトラブルになることもある。つい最近では、L'Arc-en-Cielと事務所トラブルが報じられたが、それも事務所側の不動産投資が原因とするものだった。芸能プロダクションが安定性を求めて不動産に投資を行うのは考え方として悪くない一方、売り上げに貢献したタレントらからすれば、自らの報酬に還元されるのを望むのも当然だ。

 アイドル真っ盛りの20歳で結婚宣言したNMB48須藤凜々花が話題を呼んでいるが、ジャニーズでいきなり爆弾宣言なんてことは絶対にあり得ない。それはジャニーズのタレントにはプロ意識があるからだ。ジャニーさんが作り出したエンタテイメント空間はそれほどまでに揺るぎない。SMAPの独立3人組にいつまでも愛情を向け続けるとは思えないが、その未来に立ちはだかるような真似もしない。今回の稲垣ら3人に向けたジャニーさんのコメントには複雑な意味が隠されているのだ。

著者プロフィール


ジャニーズ出身の作家

平本淳也(ひらもと・じゅんや)

ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/

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