【プロ野球】押し出しサヨナラに10点差を大逆転。ヤクルトが今シーズン初の3タテを記録した中日との3連戦 (1/2ページ)

デイリーニュースオンライン

押し出しサヨナラに10点差を大逆転
押し出しサヨナラに10点差を大逆転

 ペナントレースの後半戦が始まっても長い連敗のトンネルから抜け出すことができなかったヤクルト。DeNAに3連敗し、阪神との3連戦の初戦を落とし、引き分けを1つ挟んで連敗は14まで伸びていた。

 その悪夢から由規の好投が救ってくれたのは7月22日。しかし、翌日は敗戦。つかの間の喜びとなってしまっていた。

 そんな状況で迎えた7月25日からの中日3連戦は、多くのヤクルトファン、そして中日ファンにとって忘れられないカードとなった。

■初戦はあっけない幕切れ

 中日3連戦の初戦。ヤクルトは初回に1点を失ういつものパターン。その後、両チームともに点を取り合い、7回終了時点で7対5とヤクルトがリード。8回、9回を残して2点のリードならなんとかなる、と思っていたヤクルトファンは皆無に等しいだろう。

 8回表、多くのファンの悪い予感は現実となる。福田永将にこの試合2本目となる3ランを浴び、土壇場で試合をひっくり返された。「生ビール半額ナイター」ということもあり、周囲の観客もいつも以上に殺気立っている、ように感じた。

 しかし、この日のヤクルトはここで終わらない。8回裏、回跨ぎで続投する中日・又吉克樹を攻め立て、1死一、三塁のチャンスを作る。バッターボックスには大松尚逸。「犠牲フライで1点が最低限かな」。そんな声が聞こえる。しかし、予想だにしなかった展開で点が入った。又吉がボークを犯したのだ。これで8対8の同点。そのまま試合は延長へ。

 迎えた10回裏、中日のマウンドにはルーキーの笠原祥太郎。ヤクルトは2四球と安打で1死満塁のチャンスを作る。ここで打席に入ったのは代打・荒木貴裕。ヤクルトファンの筆者が、個人的に応援歌が一番かっこいいと思っている選手でもある。しかし、なんとも言えない当たり損ねの遊飛……。ため息すら出なかった。

 続く打席には山田哲人。この日は押し出しの四球を1つ選んでいるものの、ここまでノーヒット。しかし、2年連続トリプルスリーを達成した男の重圧がルーキーを追い込んだのだろうか。ストライクの入らない笠原は押し出し四球を与え、あっけない幕切れ。ヤクルトがサヨナラ勝利を決めたとき、時刻は22時半を回っていた。

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■第2戦は球史に残る大逆転劇

 4時間半を超える熱戦を終えた翌日、第2戦では「燕パワープロジェクト」が開催された。これは、ビジターの外野席を除き縁色の「燕パワーユニフォーム」が配布されるイベントだ。

 球場の大部分が緑に覆い尽くされ、いつも以上にファンの一体感があったのは間違いない。筆者は荒木のユニフォームを身にまとい、いつもの右翼スタンドで観戦したのだが……。

 筆者は早く帰りたくてしょうがなかった。5回表の時点で0対10とヤクルトの敗戦は濃厚。前日は4時間半を超える延長戦。明日も試合がある。「負けるのは仕方ない。早く帰らせてほしい」という考えが頭をよぎった。8回裏までは。

 7回裏、ヤクルトは中村悠平の2ランで一矢報いると、8回裏には8点を奪い、なんと同点に。球場のファンだけでなく、試合中継を見ていた全国の野球ファンが度肝を抜かれたことは想像に難くない。ただ、一方で「ここで逆転できなかったから、結局は負けそうだな」と思ったファンも少なくなかっただろう。

 しかし、この日のヤクルトは違った。終盤の継投で中日打線を無失点に抑え、10回裏の攻撃を迎える。雨が降り出した。1死後に代打で登場したのは大松だった。その初球。大松の打球はバックスクリーン横に飛び込んだ。今シーズン2本目のサヨナラ本塁打で、プロ野球史上に残る10点ビハインドからの逆転勝ちを収めたのだ。

 10点ビハインド、延長戦、そして雨が降り出すという悪条件でも、多くのファンがスタンドを緑で埋め尽くしていた。この雨はスタンドにいるときは意識していなかったが、球場の外に出ると強く感じられた。試合の熱狂で、体を叩く雨脚が掻き消されていたのだろう。

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