諸星和己も色気?光GENJI再結成に立ちはだかる壁と現実度|平本淳也のジャニーズ社会学

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Photo by Pixabay(写真はイメージです)
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 民間宇宙飛行士で実業家の山崎大地さんと以前から仲良くさせてもらっている宇宙好きの僕ですが、「夢は大きく!希望は広く!」をテーマに番組を作ったり、宇宙に関連するビジネスを手掛けたりとグローバルな事業も進めている中で、例年の風物詩『24時間テレビ』も無事に終わり、北朝鮮から発射されたミサイルで鳴り響くアラートで8月の終わりを迎えました。

 そんな中で少し前から気になっていたのが、最近よく話題になる「光GENJI」の再結成について。中心メンバーだった諸星和己がほどよいリップサービスで記者たちを湧かせるなんてことは、これまでのジャニーズ界隈では見られなかった光景です。

 例えば、元ジャニーズが現ジャニーズを語る場面なんて「SMAP解散騒動」まで前例がなかったこと。先輩らが後輩たちの退路についてコメントするなどありえなかったが、その中で先陣を切って発信したのが諸星で、追随したのが元シブがき隊の布川敏和だった。テレビをはじめ、多くのメディアで問われる質問に対応していたが、かつてのジャニーズ事務所はそれを許さなかった。

 しかし、SMAP解散というニュースは大きく報じられるなど社会的な関心度も高く、それを止められなかったジャニー喜多川さん、メリー喜多川さんの”衰え”も隠し切れなかった。ここぞとばかりにメディアも遠慮が消え、ジャニーズで同じく「解散」を経験した格好のサンプルである光GENJIとシブがき隊のOBに問いかけていった。応じる彼らもコメントでは核心には決して触れないものの、グループをやっていれば色々あると暗に、メンバー同士の「仲は悪い、良くない」という真実を印象付けた。

 諸星に至っては、光GENJIは仲が悪くて解散したといった直球コメントで笑いを取る余裕を見せつつ、「大人になった現在はあの頃とは違う」とアピールし、メンバー7人揃って集まっていることを巧妙に明かしている。プライベートでは再結成ならぬ再集結が実現している様子に、やはりファンは歓喜となる。すでに光GENJIや諸星は過去のアイドルで、すでに終わっている彼らに需要も期待もないという一部の見方もあるだろうがそこは全然違う。

 ジャニーズ事務所のスーパーアイドルは死ぬまで”絶対的存在”である。これまでの例で言えば、1978年に解散して24年後の2002年に再結成した「フォーリーブス」はその評価の通り、死ぬまで(青山孝史2009年57歳没・北公次2012年63歳没)スーパーアイドルであり続けていた。

 野村義男が率いる「The Good-Bye」だって実はすごい。こちらは正確には解散ではなく「活動休止」のままメンバーの全員がジャニーズ事務所を退所しているが、これまで「再会」と題したライブやアルバムのリリースや、結成25周年、30周年、31周年と多くの記念イベントが行われている。

 僕はどちらも招待して頂き、大先輩たちのステージを鑑賞させていただいたが、そこに立っていたのは正真正銘のスーパーアイドルの姿だった。満員の大ホールで多くの歓声を浴びながら汗だくに演じる彼らは、当時と何も変わらない光り輝くスーパーアイドルであり続けていた。その事実を僕は目の当たりにした。

 最近では、70歳近くになった沢田研二さんも話題になっているが、確かに歳は取り、老けたり太ったり禿げてもいるが、ファンにとっては「あのとき、あのころ」と何も変わってないのだ。中高年となった女性たちこそ変わらない黄色い声援をあげて応援し続けている。確かに息は切れているものの、後ろから見た彼女らは「アイドルを応援する少女」にしか見えない。

 演じるほうも応援する方も半世紀以上を平均年齢を積み重ねているが、スポットライトの点灯と同時にタイムワープする空間はまさに感動の瞬間だ。アイドルに終わりはなく、生き続けてきたことが価値になる。光GENJIやシブがき隊にも同じことは言えるわけで、それを望むファンはそれこそ数十万人レベルだ。

 当時の人気から算出しても、レコードの売り上げ規模を十分の一にしても、そこらの大ホールは何回転かできる集客力は確実にある。ただ、面白いのが「グループ」と「メンバー個人」では大きく意味が違うということ。これは根本的に性格が異なってくる。どんなに人気があるグループでもメンバー個人となれば勝手が違う。ライブやイベントをやっても数十人は動員できても数百人レベルは難しい。バラ売りでは「人気がない」という評価になるのが元メンバーの境遇だ。

 ファンでさえ「いま、何をしているのか」わからないケースも多いという有り様だが、「グループ」となったら即時にスーパーアイドル、スーパースターとなる。さえない新聞記者がスーパーマンに変身するより劇的な変身だが、グループと個人の違いは凄まじい。メンバーが二人となってしまったフォーリーブスも音楽業界では大御所になった野村義男さんにしても、あるいは天下のアイドル・諸星和己にしても個人としての人気は、グループとしての人気の足元にも及ばない。

 外野からは「売れてないから再結成するんだろ」といった声も多くあがるが、それはそれで正直なところで否定しようもない。タレントが売れるために行動することは悪いことでもなければ、評価を下げるようなことでもない。かつての栄光や歓喜を浴びられる場所があるなら、それはオリジナルメンバーだけに許された帰れる場所だ。誰でも若いころに戻りたいとか、学生時代に戻りたいとか思うように、それはジャニーズのアイドルたちだって同様にあるのだ。

 アイドルの側に立って代弁させていただくと、各メンバーには誰しもブレイク中に起こした若気の至りというものが心に残っていて、そのわだかまりから自分自身を謙虚にリメイクしたいという思いは少なからずある。精神的に未熟だったアイドル時代はグループのことより自分の事、もちろんファンより自分、とにかく自分が大好きなスーパーアイドルでいれた。しかし、そんなブレイクを経て大人になって社会が見えてきた今こそ、やり直したい部分があり、それをファンに見てもらいたいものだ。

 それは自己満足でもいいと思うし、それを見たいというファンがいるのだから、十分に需要と供給を満たすビジネスとして成立する。アイドルグループの元メンバーが異口同音として表現することは皆が同じで「当時は若かったからねぇ」というフレーズだ。また、大人になって面倒な考えや言い回しはなく理解し合えるのは同じ時間を共有していたメンバー同士ならではだろう。

 しかしその一方で、大人になって解散したSMAPは勝手が異なる。40歳を過ぎて、「あの頃は若かったからねぇ」と解散騒動でのメンバー間の感情の行き違いを笑って過ごすのは無理がある。過去に解散していった、どのグループより遥かに深刻な経緯で解散しており、元メンバーが仕事に困ってグループ結成に動くとは考えられない。今からもっとSMAPが大人になったとき。つまり、メンバーの全員が還暦を超える20年後あたりに5人、もしくは6人が再会するSMAPは十分あると考えるが果たして?

■ジャニーズのグループが現時的には再結成困難なワケとは?

 ただし、現実的なことを言えば、ジャニーズに属したグループの再結成は非常に難しいのが現状だ。それは「グループ」と「メンバー」はいろいろな契約や権利、扱いが別物ということに事由するからだ。

 例えば、光GENJIも野村義男さんのThe Good-Byeも、グループとしては「ジャニーズ事務所の所属タレント」であり、それは現在もなのだ。解散していようがいまいが、メンバーが存在しなくても「グループ」と名称、その関連する音楽やグッズなどの商品すべてがジャニーズに帰属するもの。つまり勝手に使ってはならないのがルールとしてあり、特に名称は商標権になっていれば法的にも禁止されている。

 ちなみに音楽(楽曲)は問題なく使用できる。使用許諾は日本音楽著作権協会(JASRAC)に申請すれば可能となり著作権料を支払えば何も問題ない。これら楽曲の著作権もジャニーズ、またはジャニーズ出版が持っていることが多い。歌手が「自分の歌」としている曲でもこの使用申請と著作権料の支払いが発生するのは誰でも同じで、もちろんジャニーズに限った特例なども存在しない。

 わかりやすく言うと、諸星が光GENJIの曲を唄うことは許されても、光GENJIとして唄うことは許されないということ。同じように退所後の稲垣吾郎や草なぎ剛、香取慎吾がSMAPの歌を唄って芸能活動はできるが、SMAPを名乗るのは許されないということ。それがルールであり法律でもある。ただし、ジャニーズ事務所も実は鬼ではないところがある。

■ジャニーズを辞めても、グループ名での芸能活動が許されたワケ

 先にあげた、フォーリーブスやThe Good-Byeは、まさしくジャニーズ事務所がその名称を使って芸能活動することを許可した実例であり、本来は活動の期間を限定するところを暗黙のフリーとして恒久的に許していることからは、彼らへの愛情さえ感じる。ただし本人たちは、あくまでも「許可をもらって活動している」という認識があるため、ジャニーズの指示があれば即時に対応するよう務めている。グループの名前くらい自由に使わせてやれよという思いもあるが、社会一般論では企業や個人の財産と商品において他人が勝手に使っていいということはあり得ず、権利者に伺いを立てるのが当然の仕来りということだ。

 ちなみにアマチュア時代から実績を積み重ねてきたバンドが晴れてメジャーデビューとなった場合は、バンド名が以前から使っていたもの、あるいは所有権が明らかなものとして自由に使えるが、レコード会社やプロダクションにグループの名称や商標、あるいは肖像といった権利物がある場合は貸与か譲渡の契約になる。

 ほとんどのケースは使用譲渡となり、音楽を含む商品の制作や販売に関する権利をプロダクションが保有するのが一般的だ。なんというか、これは婚姻契約に似ている。結婚する前から持っていたものは個人のもので、結婚後に作られたものは共有の財産と見做されるも、使用については必要不可欠なら無申告でも認められ、そうでないものは許諾制とした裁定など、いずれも個々に財産を守るためのものだ。

 ジャニーズの場合は、メンバーのそれぞれが入所・所属ののちグループに加入するため、事務所によって作られたパッケージ(グループ・ユニット)の一員となり、個々には何の権利は与えられないのは当然のことだ。また、そのパッケージは恒久的に使用されるため(過去の音楽や映像など)、事務所側はその財産と権利を手放すことはしない。つまり、「グループ」は商品パッケージで、その価値は財産となり恒久的に属するということなのだ。

 ただし、これは何もグループに限ったことでもない。ソロでもアーティストとなればグループに関係なく永遠と生き続ける。ザ・ビートルズにマイケル・ジャクソンやエルビス・プレスリー、モーツァルトにバッハにシューベルト、ピカソにゴッホ、ミケランジェロにダ・ヴィンチ……極端な話、死んでも在り続けるのが芸術の世界だ。

 前出の「The Good-Bye」は、ベーシストの加賀八郎さんを亡くした2013年以降も活動を続け、『24時間テレビ』の特別ドラマで亀梨が演じた偉人「阿久悠」さんも永遠と生きて続ける。個人的には尾崎豊だろうな。今もこの先も多くの場所と時で存在していくだろう。

 まだメンバーの全員が生きている光GENJIやSMAPなどは解散してるだけでメンバーが存在しているからいいのでは、とも思う。たとえば、忍者(90年デビュー)などいまだに解散してないのに(97年に活動休止)その存在さえ忘れられている。それでもオリジナルメンバー6人が集まれば数千人規模のイベント開催は可能だ。

 グループのパワーは計り知れないが、当時の御三家・光GENJI、男闘呼組、忍者の再結成が難しいとされるの一番の理由は、それぞれのグループに現役ジャニーズが残っているからだ。光GENJIでは内海光司と佐藤アツヒロ、男闘呼組は岡本健一が現在でもジャニーズ事務所所属であり、忍者からは遠藤直人がジャニーズ事務所の子会社ヤングコミュニケーションの幹部になっているという現実がある。現役のジャニーズタレントに、外に出てしまったメンバーとの活動、共演は認めない。ジャニーズ事務所はそれをさせない。

 田原俊彦が切望していたSMAPとの共演は果たせなかった。『SMAP×SMAP』に出たい、出してくれとアピールしていたものの、ジャニーズ事務所はそれを認めなかった。元ジャニーズと現役ジャニーズの共演でさえ容易ではないのに、同じグループで活動を共にするというのは現状では夢物語だ。グループは、ジャニーズの所属であることから、出ていったメンバーを一時的にもジャニーズがマネジメントするのを嫌う。

 だったら外は外で気軽にやっていたほうが無難だし楽だということで、ジャニーズを退所した旧メンバー同士は仲良くやっている。特に光GENJI、男闘呼組、忍者あたりの旧メンバー同士はジュニア時代も重なっているなど付き合いも長いので、一時的でもユニットを組んでライブ活動も頻繁に行っている。当時のグループ名は使えないので、その時々に付けるユニット名も異なる。

 最近では「光GEININ」というシャレの利いたユニットを諸星和己と吉本興業がやっていたが、面白いところでは、The Good-Byeの衛藤浩一さんと男闘呼組の成田昭二で組んだ「男Bye」という夢のコラボもあった。九州男児の衛藤さんならではの命名である。こういった昔の仲間たちが組んで活動するのも需要がある。再結成ではない中途半端なユニットであってもファンは喜び、それ追いかける。気持ちはわかるし、嬉しいだろうな。

著者プロフィール


ジャニーズ出身の作家

平本淳也(ひらもと・じゅんや)

ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/

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