がん代替治療:小林麻央さんと北斗晶を分けたものは何だったのか|やまもといちろうコラム

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Photo by Pixabay(写真はイメージです)
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 いままさにネット上でもニセ医学についての話題が沸騰しているのですが、とりわけ生死を大きく分けるがん治療についてはかなり分析が進んできています。

 医学的な見地からきちんと早期から外科治療を行うことの多い標準医療と、温存療法や温熱療法など「切らずにガンは治せる」などと標榜して手術を行わない代替療法とでは、発覚し処置後の5年生存率に大きな違いがあることは、かなり報じられるようになってきました。

がんの代替治療は、5年以内の死亡率が標準治療の「最大5.7倍」だった:研究結果|WIRED.jp

 この「5年死亡率が標準医療の5.7倍」というのは必ずしも正確な表現ではなく、また分かりにくいところではあるのですが、アメリカで最も多かった4種類のがん(乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん)の10年間の治験データを追跡した中で分かった内容です。結局は転移のない状態で早期発見されたがんを適切に切除処置するか、手術が困難でも適切な化学療法や放射線治療と、一部にはホルモン療法を行うことで5年以上延命できる可能性が高まる、ということになります。これを標準治療と言います。

 逆に言えば、早期発見できても適切な標準治療が受けられなければ亡くなってしまうリスクが高いわけです。

 今回、若くして亡くなった小林麻央さん(享年34)に関しては、乳がんは比較的早期のものが発見されたが、乳房の切除と再建をするのは望ましくないこと、また予後に放射線治療を行うと望んでいた第三子が儲けられなくなることを理由に、標準治療ではなく、がんに侵された乳房の温存療法を選択したとされます。

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 この温存療法という代替医療を強く勧めたとされるクリニックが、先日、不適切で違法な臍帯血移植を「がんに効く」などとして実施していたと摘発されました。

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 この中で「某著名人の方が、がんの発覚時点から当院の診察、治療を受け、当院の指導により標準治療を受けることをせずに手遅れになったという報道は事実無根でございます」という反論が示されているものの、そもそも無届の臍帯血による治療で乳がんに効果的な治験があるとするデータが乏しく、逆に前出の通り代替治療は標準治療の数倍の死亡リスクがあるとする論文がしっかりとある以上は、もしも標準治療を受けずに代替治療を進めていたならば小林麻央さんが早世してしまった理由とされても違和感はありません。

 一方、同じ乳がんを患い標準治療を即断して大手術を経験している北斗晶(50)は、術後一年の現在、概ね良好の経過のようです。もちろん、一度はリンパ節に転移している以上、楽観視することはできないのですが、周辺の情報を見る限りいまのがん治療においては適切な治療を行えた、あとは天に任せる状況ではないかと感じます。

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 がんは高齢になればかなりの割合で罹患する病気です。また、克服するためには本人だけでなく周辺の人の支えが何よりも大事な、長い闘病を必要とします。がんを宣告されて、絶望に打ちひしがれる人も少なくないでしょう。そういう人たちに対して、高額の代替治療を勧めることの問題は、もう少し広く知られても良いと思いますし、治療の実績や研究に基づいた標準治療を行う医師をもっと信頼して病気に向かい合う人が増えることを期待してやみません。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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