新しい地図:新SMAPは順調に見えても”失ったもの”は大きかった!?|平本淳也のジャニーズ社会学

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Photo by Pixabay(写真はイメージです)
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 芸能人、特にアイドルとなれば「ファンに支えられている」のは当然で、ファンがいなければアイドルとは言えない。中でも王道「ジャニーズ」はアイドルというものを確立させた筆頭にも上がるし、その歴史にも大きく貢献してきたといえる。

 歌って踊って演じて魅せる、これをステージで披露しテレビで席巻したジャニーズは、なにより「ファン」の獲得と、これを固有のものとした。ファンクラブの在り方もそうだが、タレント個々というより「ジャニーズのファン」という囲い込みに成功しているのが大きい。

 つまり「事務所のファン」ということで、この例は他には見当たらない。超大手でもバーニングが好きとか、田辺エージェンシーのファンですとか聞いたことがないからね。ジャニーズに対抗できるのはディズニーくらいだろう(笑い)。

 ジャニーズが好きとか嫌いとか、ジャニーズの誰が好みといった話題はいつの時代も盛んであるが、対抗してパロディにしているのは吉本興業さんや太田プロさんくらいで他のどこも「ジャニーズ」に太刀打ち出来ないし真似さえ難しい。それでも「アイドルの手法」という例を作り、多くが見習うも足元にも及ばずジャニーズは独り勝ちの歴史を作ってきた。

 それは何よりも「ファン」あってのことだ。ジャニーズの上手いところはそこなのだ。ファンを引き付けるアイドル作りは根本的なところの才能だが、ジャニー喜多川さんの「人がやってないことをやる」「他ができないことをやる」プロデュースがやはり凄いワケで、「初代ジャニーズ」を生んだGS(グループサウンズ)時代の当時は「売れるワケない」と揶揄されたものの、その20年後には天下を取り、さらにその20年後には不動の地位となっている。

 髪型やファッションにも大きく影響しているのは言うまでもないが、イケメンの代名詞にもなり、ジャニーズ系というカテゴリーさえ生んだ。思い出したがその昔、ソース、ケチャップ、しょうゆ顔という顔の作りを調味料で印象づけるのも流行った。ヒガシ(しょうゆ)、ニシキ(ソース)、植草(ケチャップ)の少年隊はその意味では完璧だ(笑い)。

 また「ジャニーズ」というネーミングの良さに惹かれる面も多々あるようで、前出のように「ナベプロ」とか「ホリプロ」が好きというより「ジャニーズ!」という響きの格好良さが80年代に広く受けたことも強い礎になって今にも生きている。それを例えて「ハロープロジェクト」など総称で使われることにもなった。

 このように芸能界でも世間にも強く影響し続けるジャニーズは他の事務所とは全てが違うし類もない。そして「ジャニーズのファン」という類のない世界観の中で生きる人々をも作り上げた。ジャニーズだから好きであり、ジャニーズだから愛していける。ジャニーズ、ジャニーズってウザイな(笑い)。 

 そして、いまジャニーズ事務所は嫌われている? なんだか矛盾しているようだが、嫌われているという話題はネットだけで一部のオカシイ人たちが勘違いしているに過ぎない。特にメリーさんとジュリーさんに対してだが、知らない相手をよくもまぁ悪く言えるよねぇと感心するくらいだ。

 SMAPにせよ、新SMAPにしても「ジャニーズだから好き」なことに変わりはないし、SMAPを解散させて三人を追い出してとか、そういう印象で相変わらずの口撃も盛んであるなか、認めたくないだろうが、君らはジャニーズだから好きであって、ジャニーズじゃなかったら興味も持たなかっただろう。ジャニーズじゃなかったら、そもそもSMAPが存在してないけどね。

 本末転倒となってしまう話だが、その新SMAPの動向を見ていればファンは有難いものだ。10万人のファンクラブ会員を保有できる三人には逆に重い気もするが、何年持つかが見どころだとも言える。つまりファンは永遠ではない。好きな気持ちはあっても帯同する時間と労力は限定的だからだ。

 大人目線からすれば5000円やそこらの年会費は、一般的な女性からすればそんなに懐が痛くはないだろうし、応援している気持ちであれば数年は払い続けるだろう。ただし、ファンはそんなに甘くない。相当の活動をしてくれないと応援が怒りにも変わるときがある。40過ぎたおっさんたちの体操着姿を見て興奮している様子も聞かれるが「これで良いのか?」と冷静に思う厳しいファンも少なくない。

 もちろん、応援する側も、「あくまでSMAPの吾郎ちゃんが好き」とか「五人の中で慎吾クンがイチバン」という感覚だっただけで、彼ら個人のファンになったつもりは毛頭ないという本音もあるだろう。まあ、「芝居している剛くんがたまらない」というマイノリティーもいるだろうが、本当に好きなのはSMAPなはずだ。

 逆に中居や木村にしても同じことが言える。もう二度とドームでコンサートは出来ないどころか、歌で勝負することもギャンブルとなってしまう。ジャニーズであっても、元SMAPであっても無理は無理……。そこが不思議なところでもある。俳優としてそこそこ地位を上げてきた木村は『大河ドラマ』の主演という基点があるのだが、このタイミングさえ失ってしまった。

 言うまでもないが、失ってしまったのはファンも当然だが、誰よりも本人たちの喪失感は凄まじく思える。しかし、世間を動かすほどの大きなドラマがそのうちやってくるでしょうし、面白い展開はまだまだ先に続くので待っていれば楽しめると思う。僕は横浜でエンターテトイメントカフェRHYTHMという店もやっているが、その店に芸能関係者も多く来てくれる。

 タレントはもちろん、局や制作に広告屋さんなど多彩だが、ジャニーズ関係や新SMAP関係のご来店もよくあるところ、その「置き土産」が面白く楽しい。なんか、みんなの話を聞いていると「平和だなぁ」と思う。一方、国連の公式イベントに参加している僕は、安保理や軍縮会議などに耳を傾けているところ、「Sがさ!」とか「新しい方がさ!」とか「滝沢も今井もさ!」などなど邪魔がよく入る(笑い)。

 そんな折、なにより届くのがファンたちの声だ。前出のように「新しい地図」に対する冷ややかな声も少なくなく、不安や愚痴も大きくなってきている様子をちょくちょく伺ってる。勢いでファンクラブ申し込んだけど、今はネット番組の宣伝しかないし、応援の仕方がわからないと漏らす。そこがポイントだろう。

 ジャニーズファンはイベントが好きだ。ドームやアリーナなどに集い、ハチャメチャになって騒ぐのが何より楽しい。グッズを手に入れたり、友達に会うのも楽しい。が、しかし新SMAPにそれはない。ファンが本当に望んでいるのは、テレビや映画などではなく、生のジャニーズが歌って踊るステージだ。

 ジャニーさんはよくわかっている。というより、それを作ってきたのがジャニーさんだから当然だ。テレビや映画にジャニーズの魅力は存在しない。すべてはステージにありというのが本来のジャニーズスタイルであり、これをブレることなく通して半世紀超だ!

 楽しい場をなくして応援の仕方がわからないジャニーズファンの迷いが今蠢いている。ジャニーズがネットに頼らず、またネットを活用しない理由も同じく、そこにファンの居場所を必要としていないからだ。ジャニーズの主力会社「ヤングコミュニケーション」、この社名はもちろんジャニーさんの命名だが、ジャニーズの楽しさは「コミュニケーション」にあるという意味でもある。

 みんなで一緒に騒いで盛り上がる……昔で言えば、お揃いのハッピで合いの手、掛け声、コール! 90年代からは定番のウチワとサイリウムが加わって、とにかく叫ぶし踊り狂う。親子三世代がガチMIXだ。それがジャニーズ。ネットのどこに行けばそれが出来るのか? ネチネチしながらグチグチ言い合うのがコミュニケーションなのか? そこにジャニーズの魅力など存在しない。

 そんな楽しみを奪われた喪失感は理解できる。やっぱりあの場は楽しいもの。応援の仕方と場所を奪われたファンの皆さんが、乗じてネットに移行するとは思えないし、こういう時代だからこそ生まれた「リア充」を何処よりも大事に作ってきたジャニーズとファンの絆はそう簡単に壊れないだろう。

 ネット戦略が大成功との飯島効果の高い評価もチラホラあるが、それは今だけのこと。ジャニーズが大好きなSMAPファンは三人に見切りをつける日が必ず訪れる。まあ、飯島さんはよくわかっているので次の手を期待するところ、その「飯島率いる新SMAPによるジャニーズへの逆襲」が画図されている模様は全くないが、本当の逆襲は「ファンから」による三行半だと思えることに少々心配なところ。

 ファンの期待を裏切ったり、怒らせたりすると壊いからねぇ 本当にあった怖い話「ジャニーズファン編」で連続ドラマが4クールくらい余裕で出来るよ(笑い)。次回、書くかな。

著者プロフィール


ジャニーズ出身の作家

平本淳也(ひらもと・じゅんや)

ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/

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