経費の基準について判例を無視する国税とそれに対する納税者としての心構え (1/2ページ)

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経費の基準について判例を無視する国税とそれに対する納税者としての心構え

個人事業主の所得税の計算上、経費として認められるものは、「業務に直接必要な経費」に限られると国税は説明しています。しかし、法律をしっかりと読むと、「直接必要」とまでは明記されておらず、「業務に必要」なものであれば経費になると書かれています。
この点、実は裁判でも明らかにされています。5年ほど前の事件ですが、弁護士が支払った弁護士会の役員等としての活動に伴って支出した懇親会費用について、必要経費と認められています。このような懇親会費用は、弁護士会という団体の費用として見るべきですので、弁護士個人の「業務に直接必要」とまでは言えません。しかし、「業務に必要」な費用であることは間違いないとして、裁判所は必要経費として認めています。

■国税は反対

このような裁判がありますから、本来は「業務に直接必要な経費」に限られるという見解を国税も改めるべきですが、全く改めていません。この典型例が、ロータリークラブに関する費用です。

事業を行っている方は、人脈づくりを兼ねてロータリークラブに入会することも多くあると思いますが、その入会金や会費について、個人事業主の経費にならないとされた事例があります。

ロータリークラブの人脈を活かして仕事を獲得する、というケースも多いため、一般的な感覚からは理解しがたいです。この事例では、ロータリークラブの会則における目的に注目し、その団体の目的としては、奉仕の理想を鼓吹し、これを育成することにあるとされていることから、奉仕活動が目的で人脈を目的とした団体ではないことから、その会費や入会金を支払う目的も、人脈づくりという事業のためだけとは言えない、こんな判断がなされています。

専門的な話で難しいですが、支払う目的が100%事業でない以上は、客観的に見て「業務に直接必要な費用」には当たらないことになるため、経費としては認めないという判断がなされているのです。

■経費は厳しい

このような判断がなされていますから、ロータリークラブのように、100%事業のための経費と言えない費用については、税務調査によって個人事業の経費として認められないと指導される可能性が大きいと考えられます。

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