北朝鮮有事を睨む11月5日、トランプ大統領来日|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■日本政府はどれだけの準備ができるのか

 裏を返すと、金正恩さんというのは、金日成さん、金正日さんに比べても非常にまともな意志決定能力と現実的な対応が可能である比較的明晰な為政者なのではないか、と見られ始めていることの証左でもあります。日本にいると、まさに精神異常者が北朝鮮の独裁体制を維持していまにもミサイルを乱発してくるのではないかと思うような錯覚に見舞われますが、いまや安全保障関連の議論においてはまったく逆で、南シナ海など海洋進出に舵を切った中国が北朝鮮を相対的にお荷物扱いし始めている現状も、北朝鮮の体制を維持しながら核ミサイル開発という一点豪華主義で難局を突破しようという強い意志も感じさせるまともな首領なんじゃないかと見られているわけです。

 むしろ、頭がかなりアレなのではないかと見られるのは、そういう北朝鮮の挑発的な文言に真正面から同レベルで反応して罵倒の応酬をしてしまうドナルド・トランプさん(71)のほうじゃないのか、と思われるのも自然なことでしょう。何をしでかすかわからないという点では、いままでの北朝鮮ならば準備が整えば周辺の国の状況などお構いなしに核実験やミサイル発射していたものが、中国で共産党大会が、日本で総選挙があるとなると一気に鳴りを潜める「配慮」も北朝鮮はするようになり、おそらくは北朝鮮の次のカードは「核ミサイル配備が終わりました」宣言になるのではないかとすら思われます。

 そうすると、日本でも韓国でも核兵器を配備するべきであるという国論が湧き上がるわけで、東アジアの安全保障はまた一歩、タガが外れて危険水位が少し上がることになります。さらに日本は憲法9条の改正や対中国の安全保障議論なども積み上がっているわけで、さてこれからどうするのかといったところに差し掛かります。

 このような状況を受けて、アメリカ大統領であるトランプさんは「アメリカは偉大であるべきだ」という国家目標と併せて国益を最重要視する立場から、相対的にアジアでアメリカの存在感が損なわれかねない北朝鮮の動きを容認できない方向に行くでしょう。単純な話、核ミサイルが具体的に配備される前に単独でもいいから口実見つけてさっさと攻撃してしまえ、という話です。

 本当にやるかどうかは別として、実際にアメリカの軍事行動が行われる場合は北朝鮮も報復に動くわけですから、少なくとも38度線の目の前に有る韓国・ソウルは火の海になります。在韓日本人も6万人というオーダーでいる状況ですので、これらの日本人をどう安全に日本へ避難させるのかは考えなければなりませんし、また、北朝鮮の軍事的能力はそう高くないものの数万、数十万の韓国人難民が日本にやってくる可能性も否定できません。これらの危機的な状況に対して、日本政府がどれだけの準備をすることができるのかは、これから考えるにはちょっと時間の制約が大きすぎるのではないかとすら思います。

 ちなみに、来年2018年1月17日が新月になります。何事もなければよいのですが。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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