NHKの異色番組『ねほりんぱほりん』でついに”ネトゲ廃人”特集が|やまもといちろうコラム

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NHKの異色番組『ねほりんぱほりん』でついに「ネトゲ廃人」特集が|やまもといちろうコラム(写真はイメージです)
NHKの異色番組『ねほりんぱほりん』でついに「ネトゲ廃人」特集が|やまもといちろうコラム(写真はイメージです)

 NHKは謎番組をやることも多々あるのですけれども、その中でもEテレ屈指の不思議番組のひとつ「ねほりんぱほりん」でネットゲームにハマりすぎて帰ってこれなくなった人、いわゆる「ネトゲ廃人」について特集するというので興味津々です。

ねほりんぱほりん「ネトゲ廃人」登場!1日20時間以上、衝撃の実態を掘れ! - NHK ネットゲームにのめり込み過ぎて正常な社会生活ができない「ネトゲ廃人」が登場。10年以上も1日最低20時間のプレイを続ける男の衝撃の実態とは?そこまでやる訳とは?

http://www4.nhk.or.jp/nehorin/x/2017-11-18/31/7104/1317024/

 もちろん当記事は私も媒体側もNHKの回し者でも何でもないのですが、ただ何と申しますか、学生時代や社会人になってから、すべてが嫌になってネットゲームにどっぷりはまり込んでしまった切ない記憶を持つ関係者がおるわけですよ。

 何を隠そう私もその一人なんですが、ネットゲーム黎明期の名作「ウルティマ・オンライン」にどっぷりとはまり込み、英語版しかサービスのないところで初期サーバーの「Napa」で他のプレイヤーを殺し回るプレイヤーキラー、通称「赤ネーム」キャラを複数運用してペナルティを喰らい、それでもゲームを諦めきれなくて別サーバー「Sonoma」に移住、そこでも赤ネームをやりまして。そのSonomaでぶち殺した他のプレイヤーが運営であったオリジンに赤ネーム十数人に訴状を送られた中の一人に私のキャラクターが入っていたので、そこで目が醒めてすっぱり「ウルティマ・オンライン」から卒業いたしました。

 何しろこの赤ネーム、当時の仕様では「そのキャラクターが殺されるとステータス大幅下落や持ち物を持って行かれ放題」であり、さらに「安全にログアウトできない」という厳しい仕様でありました。ペナルティは日を追うごとに厳しくなる一方で、最後にはプレイヤーが他のプレイヤーを殺すことのできない「トランメル」という糞鯖さえも作られてしまったといいます。なので、ずっと起きててキャラクターを監視していないと、赤ネームを殺しに来る一見善良風なPKK(プレイヤーキラー・キラー)にやられかねず、それこそ寝不足になりながらネットゲームをやっておったのです。ストレス解消のためにネットゲームをやっているのに、ストレスが死ぬほど溜まるという人生の無駄時間を過ごした記憶が悪夢となって蘇ります。もちろん、いわゆる廃人期間というのはせいぜい5週間ぐらいであって、実際には2年ほど遊んでいたわけですが、ネトゲ廃人というのは実に不健康で、非生産的で、くだらないものでした。

 すっぱりネットゲームをやめたはずが、今度は「エヴァー・クエスト」というネットゲームの名作にまたハマり、日本人ギルドを作って君臨するというのをやっておりました。思い返せば、何してたんだろう私。明らかに、ネトゲ依存症に一瞬なるんですよね。自力で回復はするけど。この「ちょっとゲームを楽しもう」とか「現実とは違う世界で気を抜こう」とすると、そこに「努力が報われる世界」が広がっておるのです。現実では自分なりに頑張っても駄目だったりする残念はあるけど、ネトゲの世界は駄目には理由があり、頑張っただけレベルが上がり、集まった仲間の数だけギルドが有利になるという仕様があった。ああ、この原稿を書いているだけで心が苦しい。

 当時のネトゲ界隈では、「ゲーム内では立派になるけど、現実社会ではどんどんだめになっていく」というのが標語でありました。ただ、いまのソーシャルゲームのように膨大な金額と時間を突っ込まないとランキングの上位に行かないという代物ではなく、その世界で、私と同じような覚悟を決めた高レベルキャラを操る奴らと世界観を楽しめるという、共有体験の魔力みたいなものがあるのです。これが、本当にあるのです。

 この「エヴァー・クエスト」を引退した理由というのも、そろそろやめないとな、やめなきゃ、と思いながらもずるずるやっていた状態で、日本人ギルドオフ会みたいなものがなぜか鈴鹿であって、仕事もないのに週末新幹線に乗って行ってみたんですよ。そしたら、ギルド内できらびやかで魅力的な女性キャラを操っていた人物がハゲで太ったおっさんであったことを筆頭に、およそ日本社会の底辺から数えたほうが早そうな人たちの集団であったことに気づいてしまったからなんですよね。もっとも、休み取って新幹線乗って集まれるというのは別の事情があって、不動産のオーナーだったりとか、親の遺産があったりとか、別の食い扶持を持ちながらも人生に意味を見いだせず、ネットゲームに時間を費やす高等遊民であったというのも大きかったのですが。

 また、当時つるんでいたプレイヤーの「いかすみ」君や「はると」君といった友人が次々とゲームを引退していき、この素敵な世界で取り残される悲しさもまた、美しいのであります。もう、夢の世界は死んだんだ。誰もここにはいなくなって、私もいま、去るべきときが来たのだ、とか勝手に感傷に浸るわけですよ。もちろん、新しくゲームに参加する人たちを手伝ったり、ギルド間での狩り場の揉め事を捌いたり、この悲しいほど生産的ではないさまざまなタスクが縛るんですよ、人生を。

 ああ、いい。もういい。この原稿は続きはやめ。でも若者よ、辛かったり悲しかったりしたとき、自分の心の逃げ場にゲームってのは良いもんだぞ。ちゃんと現実社会に帰ってくることができればな。マジで。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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