本当にあった事件の「実録“艶”シーン」大全(1)鑑定士が選ぶ「極旨」の6篇 (1/2ページ)
事件の核に、男と女あり。とすれば実録映画に当然あるのは、美女優たちのベッドシーンだろう。男女のカラミにおける研究の第一人者である映画評論家・松井修氏が推す「実録映画の名カラミ」とは。
私のような“藤真利子原理主義者”にとって大傑作だったのが、50年に別子銅山の社宅で起こった爆破事件により、母娘の死体が発見された事件をもとにした同名小説の映画「薄化粧」(85年、松竹)でしょう。
藤真利子(62)は豊満な体ではないものの、とにかく艶技がすごい。形のよい乳房を、緒形拳が演じる逃亡犯が音を立てて吸うと、しなやかにのけぞる。正常位で緒形の腰にギュッと足を回す。この3分間ほぼ長回しの情熱的な情事は、2人の凄みが伝わってきます。
普通の女優は「受け身でやればいいや」という意識が透けて見えることがありますが、藤は自分から求め、緒形のエネルギッシュな性欲にきっちりと応えているんです。
同映画では、浅野温子(56)もバックから乳を揉まれて犯されています。緒形の全力の乳揉みは、一瞬のシーンにもかかわらず強烈な印象を与えます。
同様に、緒形に抱かれてよかったのが、63~64年にかけて5人を殺害し、逃亡を続けた西口彰事件をモチーフにした小説が原作の「復讐するは我にあり」(79年、松竹)での小川真由美(77)。着物姿で、無理やりに近い形で後ろから犯されるのですが、しだいに上になってよがるのです。イヤだけど感じてしまう‥‥という野獣状態。こちらもやはり、緒形のセックスに対する異常な執念がカラミを盛り上げます。
混浴風呂で倍賞美津子(70)の迫力バストをわしづかみ、湯の中で愛撫する三國連太郎も頑張っていますが、義父が妻を相手にヤルか? どうもこのシーンは“実録”ではなくファンタジーに見えてしまいます。
74年の千葉親殺し事件をモデルにした小説が原作の「青春の殺人者」(76年、ATG)も、その点ではファンタジー風。開始早々、原田美枝子(58)の全裸が大写しになり、「私のことよく見てもらいたいの」と言う。