本当にあった事件の「実録“艶”シーン」大全(2)直撃インタビュー・「全員死刑」清水葉月 (2/2ページ)
撮影前は、「なんてひどいセリフなんだ」と眉をひそめるように思えたセリフも、いざその時が来ると、感情を乗せ、口をついて出てきた。
「彼は裏でコソコソしている。その間、私はなぜか彼の友人男性が入院する病室で待たされる。彼にいちずな愛がある私は、素直に待つ。そんな切なさ、悔しさ、やりきれなさを募らせる私が、練乳つきのイチゴを食べると、男は“そういうこと”に見立てて妄想する。もう、本当にイヤじゃないですか。すると、ひどいセリフは自然と出ましたね」
現場で「いいトーンで出たね」と絶賛の嵐だったそのシーンは、ぜひ劇場で確認していただきたい。清水ももちろん勧めるが、複雑な表情も隠せない。
「演じるうえではいつもと同じように、真摯に役に向き合いました。実際の事件だからと、特別な意識もなく。ただ、今、困っているんです。見てくださる人に『おもしろいから見てね』と言おうとしても、被害者もいる事件を『おもしろい』と言うべきか‥‥。どう伝えようか考えてしまいます」
だが、彼女の目に映る彼は、「普通の恋人」だった。
「変わったところは“ヤクザの息子”というくらいで、普通の恋人同士。でも、実際の事件を引いた目で見ると、狂気しか見えない。普通っていったい、何なのでしょうね」
さまざまな物議を醸すだろう「実録映画の醍醐味」に、ぜひハマるべし!