仲間や家族の死を悲しむのは人間だけではなく動物も同様らしいという話 (1/2ページ)

心に残る家族葬

仲間や家族の死を悲しむのは人間だけではなく動物も同様らしいという話

科学は究極の厳正性と客観性が求められる分野であり、主観や予断、あいまいさは徹底して排除されなければならない。推測や予測を行う時も厳然たる事実や厳密な記録の裏付けがなければならない。このため、動物行動学では、行動記録をつけたり実験計画を立てる中で、いかにして擬人化を排除し客観性を保てるかが重要になる。人間心理の弱点として、他の動物の行動を人間の行動になぞらえて判断してしまう傾向が強いからである。

■動物の行動を人間の行動でなぞらえるとは?

例えば、「動物園でシカにそっぽを向かれた。私のことが嫌いに違いない」とか「犬が微笑んでいる」といった表現は、擬人化の例だ。このような表現は実際上、その生き物の生物学的なプロセスや行動の本来の機序の科学的な理解を損ねる可能性がある。それゆえ、動物行動学の分野では擬人化になりかねない現象や行動の解釈に関しては極めて慎重になる。

■動物も死を認識することが明らかになった

色々な動物種の行動研究が進むにつれ、動物学者達はある事に気づき始める。それは、動物は、自分と同じ種類の個体の死を認識できるらしいということ。そして、個体間の絆が強いほど仲間や家族が死んだ際に特別な行動を示すことが、膨大な観察結果から明らかになってきたのだ。この特別な行動は、単独生活をする動物より、高い社会性を持ち群生活する動物に多い傾向がある。仲間の死の際の特別な行動は、他の状況下ではまず観察されないので、科学者達のとりあえずの結論は「動物は仲間の死を認識できる可能性あり」ということだった。

■アフリカゾウの場合

アフリカゾウは母系の群単位で生活するのだが、年長のメスとその姉妹、娘が群の中核を構成し、オスは一人前になると母親の群を離れ単独または2,3頭のオスの群として生活する。群れは伝統的な行動圏を持ち、経験のあるメスのリーダーが水場や餌場などに群を導く。メンバー同士の強い絆は一生涯続く。ある個体が弱って地面に横たわったまま動けなくなると群は移動をやめ、その個体を取り囲んで敏感な鼻先で優しく触ったり、さすったりするという。鼻を巻き付けて抱え起こそうとする個体もいるという。

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