日馬富士、”ガチンコ”貴乃花親方と対立・引退で「プロレス界入り」の誘い水

デイリーニュースオンライン

日馬富士の格闘家転向はあるのか? photo by Edward Dalmulder(写真はイメージです)
日馬富士の格闘家転向はあるのか? photo by Edward Dalmulder(写真はイメージです)

 口を開く人間すべてが違うことを言う。何が真相だか誰も分からない。平幕・貴ノ岩殴打事件に始まる騒動は、まるで芥川龍之介の名作『藪の中』(注1)だ。横綱・日馬富士の引退という異常事態を引き起こしつつも、一向に終着点が見えない。

 ……ただ一般社会から見てもおぼろげに、好き放題やっているモンゴルグループに何も言えない相撲協会と、現体制を改革したい貴乃花親方(注2)の対立が背景にあることは、想像がつく。ただ前述のように次から次へと新証言が出てくるので、いたずらに結論を急ぐことは避けたい。そんな心境が働いてか、変わった角度からの意見も出始めている。

「日馬富士もそんなに大相撲にこだわらなくてもいいじゃないか。それこそプロレスに転向すれば、プロレスも大いに盛り上がるはず。プロレスファンにも歓迎されると思うけどね」(高須克弥・高須クリニック院長)

「格闘技やったら強そうだね。個人的には、総合格闘技に向いていると思う。(略)大晦日(のビッグマッチに)モンゴル、大相撲、そういうキーワードは欲しい」(総合格闘技RIZIN・榊原信行実行委員長)

「相撲の引退は俺の(これまでの)引退と違って撤回できないからね(注3)。<引退撤回じゃあ>と言えれば最高だけど…」(プロレスラー・大仁田厚)

 とまあ、日馬富士の行く末を心配している方は多い。が、どこかフザケ半分っぽいトーンに聞こえるのは、偏見だろうか。別に故障したワケでもなく、まだ33歳の若さ。日馬富士が魅力的な素材なのは、間違いないだろうが……。

■プロレスへ飛び込んだ横綱たちは?

 そもそも日本のプロレス界は関脇・力道山が転向したことから始まったので、相撲界の匂いを濃厚に引き継いだ。相撲部屋のような各団体では、ちゃんこ鍋で身体を作り、トレーニングに四股やテッポウを取り入れるレスラーもいる。金星、首投げ、しょっぱい、ガチンコ……と用語も転用した。

 ゆえにこれまで数十人の力士がプロレスラーに転向したが、とりわけ最高位<横綱>のプロレス転向は、常に大きな話題となってきた。振り返ってみると、

東富士…江戸っ子横綱として人気があった。廃業後に力道山に誘われて1955年に転向したが、結局はワキ役扱い。わずか3年でプロレスも引退した。

輪島(大土)…学生横綱からプロ入り、3年半という超スピード出世で横綱に。北の湖と共に<輪湖時代>を築きあげた天才力士。しかし年寄株を借金の担保にしたことで相撲界から追放され、1986年に全日本プロレス入り。それなりに人気を呼んだが、何の前ぶれもなく1988年にプロレスも引退した。

北尾(光司)…早くから巨体と才能を見出されて角界入り。誰もが素質を認めるがゆえに、優勝経験の無いまま22歳で横綱・双羽黒となる。が、問題視され続けたサボり癖と精神面の脆さによって、親方夫妻と衝突して廃業。タレント活動を経て1990年にプロレス転向。ここでも長州力への差別発言など、トラブルを多発。総合格闘技に進出したりもしたが、最後は1998年に完全引退した。

…同じハワイ出身の東関親方のスカウトで来日。同期の貴乃花親方(当時・貴花田)と競い合いながら出世し、外国出身者として初の横綱となる。引退後、師匠との関係などに悩み協会を退職。2003年の大晦日に電撃的なK‐1(注4)参戦を果たし、ボブ・サップにKO負けした。以後も総合格闘技などで負けが込むなか、プロレスにも参戦。紆余曲折を経ながら現在も現役レスラーだ。

 ――こうして見ると、横綱だからといっても大成功と呼べる例は無い。プロレスで大相撲時代以上の活躍をしたのは、開祖・力道山と前頭筆頭が最高位だった天龍源一郎くらいか。いろいろ言う人はいるが、やはり甘い世界ではなく、待遇面でも大相撲時代を超えることは不可能だろう。

「(交友ある日馬富士本人から)モンゴルではスゴイ人脈があると聞いたからね。第二の人生も上手くいくと思う。今は安易に<プロレスラーになれ>とは言いたくない」(大仁田厚)

 大ウソつきと自称する大仁田だが、このアドバイスは日馬富士も傾聴するだろう。ただし第二の人生を始める前に、白鵬にも協会にも貴乃花親方にも忖度することなく、真実を話してからにして欲しい。これだけはガチンコで。

(注1) 藪の中…事件の複数の当事者、目撃者の証言がすべて食い違って、真相が混迷していく名作短編小説。
(注2) 貴乃花親方…現役時代からガチンコ派で知られる。人気はあるが、変人ぶりを疎まれることも。
(注3) 引退…大仁田は先日、6回目の引退試合を行ったばかり。もう復帰が噂されている。
(注4) K−1…当時は隆盛をきわめていたキックボクシング。今もあるが、まったく運営形態が違っている。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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