話題の1冊 著者インタビュー 野沢直子 『笑うお葬式』 文藝春秋 1,250円(本体価格)

週刊実話

話題の1冊 著者インタビュー 野沢直子 『笑うお葬式』 文藝春秋 1,250円(本体価格)

 ――4度の結婚、一時は新宿にビルを持ち、死ぬ時は所持金がたった1000円。なんとも破天荒なお父さんですが、家庭の中ではどのような方だったのですか?

 野沢 私が小さかった頃の父は「俺は一発当ててやるんだ」が口癖で、事業をいくつも立ち上げては失敗を繰り返していました。最終的に私が中学生になった頃、競馬の予想を電話で会員に教えるという競馬予想業が成功した後は、今度は「カジノにいると“生きてるんだ”と実感するんだよ」と、よく言ってましたね。
 元々、家にいる時間も少なかったような気もしますが、幼少の頃は父が家にいると友人がたくさん集まってきて、とにかく賑やかな人だったと思います。家族と話す時は声も大きく、基本、よく冗談ばかり言っていましたね。
 何度となく事業に失敗し、失踪もしましたが、その度に立ち上がって結局は成功したのだから、大したものだと思います。

 ――お笑いの道を目指し、芸能活動休止後は渡米して結婚するなど、その行動力はやはりお父さんの影響が強かったのでしょうか?

 野沢 自分で自分のことはよく分かりませんが、もしかしたら、思いつくとあまり深く考えずにすぐ行動に移してしまうのは、父譲りかもしれませんね(笑)。
 私が高校生の時は、とにかくクラスメイトを笑わせることに徹していて、日々それだけに命を懸けていました。全く勉強をせず、ほとんどの教科は『2』で卒業しましたが「一発当ててやる」父と、それを支えてきた母という、この特殊な両親は、成績の悪さで子供を叱るということはなく、その点に関しては、ありがたかったです。

 ――お父さんの死後、まだ見ぬ異母妹に会いに行ったそうですね。

 野沢 父の死後に遺品整理していた弟から「父に隠し子がいた」と連絡があったんです。最初は戸惑いましたが、あれから2年が経ち、気持ちの整理もついたので対面することにしました。妹はタイ在住で、実際に会ってみると、違う国で別々に育ったにも関わらず、自分と興味のあることや考え方が似ていたりして、その血の繋がりの不思議を感じましたね。
 妹は現在、3歳と1歳の男の子の子育て真っ最中で、私と同じように父から「子供には好きなことをさせなさい」と言われていたそうで、それを聞いて涙が止まらなくなりました。正直、会う前は複雑な気持ちでしたが、家族のだんらんに暖かく迎えてもらって、今では“家族が増えた喜び”が大切だと思うようになりました。
(聞き手/程原ケン)

野沢直子(のざわ・なおこ)
1963年、東京都生まれ。高校時代にテレビデビュー。叔父・野沢那智の仲介で吉本興業に入社。ダウンタウンらと『夢で逢えたら』などの人気番組に出演。長女は総合格闘家の真珠・野沢オークライヤー。

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