ドラえもん「ニセ原画男」を告発(2)20年前に騒動になったネームが

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ドラえもん「ニセ原画男」を告発(2)20年前に騒動になったネームが

 それだけではない。藤子氏の贋作はこれまでにも数多く報告されているが、今回のオークションでは、関係者しか知らないような、過去の贋作事件を彷彿させる文言まで出てくるというから、始末が悪い。

「この出品されたネームの説明として、こう書かれている。『入手経緯は、神保町の書店にて十数年前に購入した品です』と。実は今から20年くらい前、神保町の古本屋に『ドラえもん』のネームが持ち込まれました。もちろん、“本物”として。ところが、書店の主人が本物かどうか疑問を持ち、(版元の)小学館に問い合わせたんです。そして、そのルートから先生のところに連絡が行き、『それは私の描いたものではない』と騒動になったのです。でも、この話を知っている人は外部にはほとんどいないはずなんです‥‥」

 つまり、20年前に一度騒動になった藤子氏のニセのネームが今になって突然、ネットオークションに出品されたということになる。

「当時も古本屋に売りに来たネームはネットオークション同様、身内にしかわからないような描き方であったようです。そこで疑われたのが、Aというアシスタント。彼はそれ以前にも、自分宛ての先生の直筆サイン入り色紙を古本屋に売りに出していたこともあり、問題視されていた。昔はスタッフの誕生日などには藤本先生、安孫子先生も含めてお祝いとして寄せ書き色紙を贈っていて、それを売りに出していたのです。ただ、その時は身内の恥というのもあり、Aに対する警告だけで済んだと聞いています。それ以来、彼は元スタッフや先生関係の集いに顔を出していません」

 いずれにせよ、出品者が本物と信じていたのか、偽物と知りつつオークションに出したのかは定かではないが、藤子氏ほどの大御所漫画家の原画には、10万円以上の値がつくことも少なくない。それだけに、藤子氏のファンが高額を払って偽物をつかまされてしまう可能性があることから、えびはら氏は“告発”に踏み切ったという。

「今回、身内の恥をさらすのを覚悟で僕が告発した理由の一つは、偽物が出回っているそもそもの原因が元スタッフの誰かかもしれないということです。そしてもう一つは(原作者の)藤本先生がもうお亡くなりになっているということ。先生の作品・権利は事務所で管理していますが、基本的に版権のプロの方で、漫画家ではない。つまり、偽物の下書きなどが出回った場合‥‥しかも、身内が関わっていたとしたら、僕らのような元スタッフ以外、誰も見抜けない。これは藤子先生一人の問題じゃなく、漫画界全体の問題にもなりうると危惧しています」

 ネット上には、藤子氏以外にも数多くの漫画家の“偽物”が出回っているという。現状では、落札者の自己責任になりかねないだけに、くれぐれも慎重な取り引きを心がけてほしい。

「ドラえもん「ニセ原画男」を告発(2)20年前に騒動になったネームが」のページです。デイリーニュースオンラインは、えびはら武司週刊アサヒ芸能 2017年 12/14号藤子・F・不二雄ネットオークションドラえもんエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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