叩かれる小池百合子が「喫煙者」を叩く不治のポピュリズム

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叩かれる小池百合子が「喫煙者」を叩く不治のポピュリズム(写真はイメージです)
叩かれる小池百合子が「喫煙者」を叩く不治のポピュリズム(写真はイメージです)

「知事、私たちは明確にその判断を誤った」

 先日の都議会の一般質問で、小池百合子都知事と袂を分かった音喜多駿都議(注1)は、築地市場の豊洲移転に関する都知事の政策決定をこう否定した。

 ――思い返せば2017年のウーマン・オブ・ジ・イヤー(注2)は、良くも悪くも小池百合子都知事だったと言える。

 今年の小池都知事は夏の都議選大勝の勢いに乗り、国政政党<希望の党>を設立して党首に就任した。秋の衆院選を前に民進党の有象無象を引き受けて、党に入れるだの排除するだの大騒ぎのうちに大敗…。結果的に希望の党代表を辞任。都政に専念すると宣言したが、いまや冒頭のごとく多くの批判を浴びるように…。

 ただ、いきなり大人気から奈落の底に転落したワケではない。衆院選大敗の前から、徐々に小池都知事の政策や手法にボロが出てきて、有権者たちに見抜かれていった過程がある。特に<満員電車ゼロ>だの<花粉症ゼロ>だのといった、浮き世離れしたゼロ政策を掲げたユリノミクスとやらは失笑を買った。

 もっとも中にはそれなりの反響もあって、いまも小池サンがご執心なゼロ目標もあるのだ。これだけはにっくき国(注3)を出し抜いて、都として先んじることが出来るという…それが、<受動喫煙ゼロ>だ。

小池百合子の執着

「ひとケタ間違いではないか?と驚いた。国の姿勢が甘いものだとお知らせになったと受け止めている」

 と小池百合子都知事は、大げさに驚いて見せた。厚生労働省が受動喫煙対策を強化する健康増進法改正について、店舗面積150平方メートル以下の飲食店に喫煙を認める新たな案を検討していることについて、だった。

 いろんな意見を汲んでバランスを取ろうとする政府案に対し、東京都は原則屋内禁煙とする条例案を年度内にも都議会に提出する方針だ。その内訳は学校や医療機関は敷地内を、官公庁は屋内を全面的に禁煙に。 飲食店では小規模のバー(30平方メートル以下)など以外は、喫煙室を除いて屋内禁煙とするという。違反した喫煙者や施設の管理者には、5万円以下の罰金を設ける方針だ。

「東京都の受動喫煙防止条例の基本的な考えを策定した。国の法制化を待っていると、東京都として2019年(ラグビーW杯)、2020年(東京五輪)と実際に世界から多くの人を受け入れなければいけないし、事業者もいろいろな作業を強いられるので」(小池都知事)

 世界中から注目される舞台で高らかに<禁煙都市TOKYO>をアピールし、これまでの失点を一気に挽回せんとしているのだろうか。さらには…パリ出張の際には、こんな宣言までしていた。

「東京五輪・パラリンピックの開会式と閉会式が行われる4日間は、都内の二酸化炭素(CO2)排出をゼロにする取り組みを行う」(同)

 実質的に不可能な公約を実現するために、いわゆる排出量取引を使って数字上ゼロを目指すのだろう。上辺だけ取り繕った印象は拭えない。

ポピュリズムという共通点

 …分かりやすい敵を作り、自分に正義があるとして猛攻撃。 科学的整合性より感情や雰囲気を重視。利害調整すべきところを、<リセット><全面禁止>など極端な言葉に走る。メディアを使って大衆のヒステリーを引き出す――小池都知事が得意とする手法、いわゆるポピュリズム(注4)だ。

 都知事は多くの政策で挫折した。 が、<受動喫煙ゼロ>だけがそれなりに支持を集めているのは、もともと極端な禁煙運動(注5)こそがポピュリズムに他ならず、支持層に心変わりが無いからだろう。

 むろん受動喫煙の害を肯定するわけでは無い。タバコ嫌いの権利も認められて然るべき。しかし政治が対立を先鋭化させるのではなく、分煙や、喫煙・禁煙区分の明確化などで譲り合っていける余地はあるはずだ。

 …最後の最後だけ持ち上げて申し訳ないが、小池都知事が言うところの<アウフヘーベン>(注6)を目指すべきなのではないか?

(注1) 音喜多駿… 小池都知事の腹心だったが、衆院選直前に都民ファーストの会から離脱。現在は「かがやけTokyo」所属の都議。
(注2) ウーマン・オブ・ジ・イヤー… ここでは、「最高話題賞」くらいに取って頂きたい。
(注3) にっくき国… 衆院選惨敗で、国政における小池氏のプレゼンスは極端に低下した。
(注4) ポピュリズム… 大衆迎合主義。
(注5) 極端な嫌煙運動… 「タバコを売るな!」と主張したり、喫煙席で吸っている喫煙者までをも難詰するような方々がいる。
(注6) アウフヘーベン… 止揚。矛盾・対立する2つの概念を、その状態を保ちながら、より高い次元段階で統合・発展させることを目指す。弁証法哲学用語(ドイツ語)。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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