池上彰に説得力ゼロ?大宮ソープ火災など被害者の実名報道論に批判殺到

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池上彰はやっぱりヘン?大宮ソープ火災事故でNHKの被害者実名報道を擁護(写真はイメージです)
池上彰はやっぱりヘン?大宮ソープ火災事故でNHKの被害者実名報道を擁護(写真はイメージです)

 キャスター・池上彰(67)が座間市の9人遺体遺棄事件のニュースに絡めて、「被害者の実名報道」の意義について解説した。だが、SNS上では「全然納得できない」「池上さんらしくない」という声が多々上がり、賛否の渦が広がっている。ネット時代の報道の在り方を問う、この問題の背景に何がいったいあるのか。

「池上は、28日の『2017総ざらい 知らずに終われない今年のニュースTOP50』(テレビ朝日系)の中で、同事件の注目したポイントとして『なぜ被害者の実名や顔が報道されてしまうのか』という問題を取り上げました。10月31日に白石隆宏容疑者(27)が逮捕された後、11月10日には8人の身元が判明。その際に警視庁は、8人の被害者の家族と弁護士らが書いた『実名報道をやめてほしい』と訴える文面をマスコミ各社に配布しています。しかし、ほとんどのテレビ局、新聞社はこの嘆願をあっさり無視。翌11日には顔写真や実名をそのまま報道してしまいました」(週刊誌記者)

《私は親として、娘を守ってやる事が出来ませんでした。最後の親のつとめとして、娘をこれ以上、世間のさらし者にしたくはありません。ただ、出来るだけ静かに見送ってやりたいのです》

 これは福島県の17歳高校3年生の母親が書いた嘆願だ。最愛の娘を失っただけでなく、それをマスコミに足蹴にされた心情は察して余りある。遺族に配慮して匿名報道を続けたのは、一部スポーツ紙ぐらいで、特に一環して「実名」にこだわったのは産經新聞でだったという。このマスコミの「正義」を、池上はこんな風に解説したという。

「池上はメディアが被害者の『実名報道』にこだわる理由として『匿名にすると被害者はどういう人か、どういう生活環境か、なぜ事件に巻き込まれたかが、読んでる側、見ている側がよくわからないのではないか』『どういうふうにすれば対策が取れるんだろうかと考える一つのきっかけになりうる』『匿名になったとたん抽象的になってしまう』と説明しました」(前出・記者)

 もちろん池上のいう「対策」のためには、被害者像をより具体的に浮かび上がらせる必要がある。しかし、それなら年齢や職業、地域を明らかにするだけで十分であり、固有名詞は必要ないのではないか。実名を明かしてしまえばネットで検索され、より詳細なプライバシーを暴かれてしまう危険性もあるだろう。

 この池上解説にはネット上でも「これはまったく説得力がない」「マスゴミは卒アル文集晒して悲惨さを煽りたいだけだろ」「それなら、加害者の通名報道こそが犯罪を闇に覆い隠してるじゃん」と批判が相次いでいた。ある新聞社の記者は「被害者実名報道は新たな悲劇を生んでいる」と説明する。

■大宮ソープランド火災の被害者をNHKとTBSが実名報道

「12月17日に埼玉県・大宮のソープランドで火災が起こり、11人が搬送され、その内、4名が亡くなりました。現場が風俗店だったこともあり、プライバシーを考慮して当初は被害者の実名も報道されていませんでした。しかし、NHK『首都圏ネットワーク』、TBS系『Nスタ』、産經新聞が被害者のうち3人の男女を実名で報道し、そのせいで3人は個人を特定され、顔写真やTwitterアカウントまで明かされました。ネットでは『鬼畜すぎる』と特にNHKに非難が集まりました」(前出・記者)

 怒った視聴者の追及に、NHKは池上と同じく、「事件・事故の報道は、真相や背景に迫り、国民の知る権利に答えるため、実名報道を原則としている」と説明した。池上が前出の番組で、「被害者の実名報道」に擁護的な解説をしたのは、このNHKが受けた大宮ソープ実名報道の批判をかわす意図もあったのか。

 ともあれ、ネット時代のニュースでは「実名報道」の意味合いが大きく変わっている。最近は真実の中に、ちょいちょいフェイクニュースを交えることでジャーナリストとしての信用を大きく落としている池上彰の存在とともに、ここで一度、その倫理を見直す時期なのかもしれない。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)
※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。
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