江戸時代グルメ雑学(11)元ネタは中華?それとも洋食?実は国際派の鍋料理・鶏の水炊き

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江戸時代グルメ雑学(11)元ネタは中華?それとも洋食?実は国際派の鍋料理・鶏の水炊き

豪快にブツ切りされた鶏肉、じっくりと煮た鶏ガラから取れた滋味あふれるスープ―鶏の美味しさを余すことなく博多風の水炊きは、鶏肉好きにはたまらない鍋料理ですよね。海産物系の出汁が主流の日本料理で肉系のダシで作られる水炊きは、やや特殊な一面を持った料理でもあります。今回は、そんな水炊きの成立と魅力を紹介していこうと思います。

和風アレンジされた南蛮料理。これが水炊きの始まりだった!

日本では仏教伝来以降、不殺生の思想を取り入れて鳥獣の肉を食べることはタブー視され、大っぴら(薬食いと言って陰で滋養食扱いされていた)には行われていませんでした。しかし、それが解禁されたのが室町後期に始められた南蛮貿易です。

特に南蛮貿易で潤った九州や関西では西洋やアジア諸国の料理がブームになり、鶏肉を使った料理も好まれました。寛永20年(1643年)に刊行された『料理物語』には、南蛮料理と称する鶏料理が記載されており、それが水炊きの起源と言われています。それは鶏肉と大根を水煮にし、ネギやヒラタケなどを添えて酒、塩、味噌やニンニクなどで調味するもので、どこか水炊きに近い鍋ですね。

白濁スープの博多風、ちり鍋スタイルの関西風、水炊きとひと口に言っても色々!

西欧文化の到来と共に日本に普及した肉食文化、そして水炊きですが、地域によって異なる発展を遂げました。ひとつが白濁した鶏スープで有名な博多風水炊きで、これは先述した南蛮料理が長崎で伝えられていたのが、博多にもたらされたのが始まりです。

一説には長崎の料理人である林田平三郎氏が香港に渡り、現地のイギリス人宅で学んだ料理が元で、欧州風コンソメと中華料理の鶏料理を組み合わせた物が、博多風水炊きの起源とも言われています。

もうひとつの関西風水炊きは、出汁用の昆布を除けば正真正銘の水で鳥や野菜を煮込み、ポン酢などのタレを付けて食べると言うあっさりしたものがポピュラーです。博多風の食材が必然的に鶏肉オンリーなのに対し、関西風は豚や牛、海産物などで色々な水炊きを楽しめる利点があります。

近代史に欠かせないあの偉人も愛した水炊きは、今も東京で味わえる!

南蛮貿易と言う歴史的な出来事がきっかけで生まれた国際派の鍋料理・水炊きですが、国際史に名を残した偉人に愛された料理としても有名です。福岡県生まれの思想家でアジア主義を掲げた政治活動家でもあった頭山満は、東京にある『玄海』と言う水炊き料理店と縁が深く、“日本一の水炊きの味”と玄海の水炊きを絶賛し、自筆の書を贈りました。

今も頭山氏の書が玄海には残されており、同じ福岡出身の作家で頭山満の活躍をコミック化した小林よしのりさんを始めとした著名人も訪れた名店として知られています。こうした歴史に興味がある方は、これらのお店で料理と共に文化の薫りを味わってみるのも一興ではないでしょうか。

トップ画像: Wikipediaより

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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