玉木正之のスポーツ内憂内患「大相撲暴行で見えてきた『人情相撲』の現実」 (1/2ページ)

アサ芸プラス

玉木正之のスポーツ内憂内患「大相撲暴行で見えてきた『人情相撲』の現実」

 テレビというメディアは老若男女、あらゆる人々が見るわけだから、発言内容には自ずと規制が生じる。それは当然のことで、何でも自由に喋らせろ、などと言う気は毛頭ない。

 が、貴乃花親方と日本相撲協会幹部との対立や、横綱白鵬との軋轢‥‥という問題を語るときは、テレビの「発言規制」が邪魔になる。

 たとえばある番組で「貴乃花親方が白鵬を初めとするモンゴル人力士を嫌っているのは何故ですか?」と電話で質問されたので、私はこんなふうに答えた。

「それは貴乃花親方が現役時代からガチンコ相撲を貫き、親方になってからも拵え相撲を嫌い、弟子たちにもガチンコ相撲で指導している。だから他の部屋のモンゴル勢がやってると言われる星の貸し借りや回し合いを嫌うのでしょう。そんなときに弟子の貴ノ岩がガチンコで白鵬に勝ったわけで、それを不愉快に思ったモンゴル勢が‥‥」

 と話し出したところが、「チョットすいません」と、受話器の向こうから話を遮られた。

「今、放送用の録音を録っていますので、ガチンコとか、拵え相撲とか、星の貸し借り、回し合いという言葉を、他の言葉に変えてくださいませんか?」

 私は、苦笑いしながら少し考えたあと、

「貴乃花親方と白鵬では、相撲道というものに対する考え方が全然違うわけで‥‥」

 と、話し直した。

 テレビだけではない。

 ラジオはまだ、「モンゴル勢の力士たちは、モンゴル互助会などと呼ばれる星の貸し借りをやっているという人もいますが‥‥」と、奥歯にモノが挟まったような喋り方になるとはいえ、ある程度までは喋ることができる。が、新聞はテレビと似たり寄ったりで、コラムで「モンゴルの力士には星の貸し借りの噂も‥‥」と書いたところが、「キチンとした証拠がないものを書くのは控えてほしい」と言われ、「訂正」させられた。

 もちろんテレビの短いコメントや新聞の短いコラムのなかで、「モンゴル力士の星の貸し借り」などと言ったり書いたりすると、視聴者や読者の多くは、「えっ? モンゴル力士は八百長をやってるの?」と仰天され、相撲協会には「そんな事実はない」と抗議され、さらには「ヘイトスピーチ」との非難を浴びないとも限らない。

「玉木正之のスポーツ内憂内患「大相撲暴行で見えてきた『人情相撲』の現実」」のページです。デイリーニュースオンラインは、玉木正之日馬富士貴乃花白鵬相撲スポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧