交通事故で夫婦が同時に死亡した場合、保険金の受取人は誰になる?

心に残る家族葬

交通事故で夫婦が同時に死亡した場合、保険金の受取人は誰になる?

年末から年始にかけて痛ましい事故の報道が幾つかあった。筆者の自宅近くでも新年早々、泥酔者が運転する車両が倉庫の壁に激突し大破する単独事故があったのを見た。奇跡的に死傷者がでなかったようで、一切報道されていなかった。

■昨年末に起こった煽り運転による両親同時死亡事件

ここで思い出したのが、昨年煽り運転が起因した事故で、両親が同時に亡くなった旨報道されていた件だ。両親が同時に亡くなることは滅多にないが、有り得ないわけでもない。当該事故について、恐らく亡くなった両親は生命保険乃至は自動車保険に加入していたものと考えられる。そして、保険金の受取人は両親の何れかとする契約としていたはずだ。では、当該事故のように両親つまり保険金の受取人が同時に亡くなった場合、保険金の扱いはどうなるのだろうか。

■夫婦が同時に死亡した場合の保険金は相続人全員が受取人

結論は、相続人全員が保険金受取人(保険法第46条)となるのだ。前述の事故の例だと夫と妻がそれぞれ生命保険(自動車保険含む)に加入し、それぞれを保険金受取人としていた場合だと、夫婦の子供が相続人となり夫と妻の保険金を受け取ることになる。子供が未成年の場合だと法定代理人が保険金を子供が成人するまで預かり、子供が成人後に保険金を支払うことになる。更に夫婦に子供が居なかった、または同一事故に起因して子供も亡くなった場合だと、夫婦の両親が相続人となり、両親も既に故人であれば夫婦の兄弟姉妹が相続人となる。保険金の相続分だが、相続人全員へ均等に分割されるのが一般的だ。

■以前の生命保険は、夫婦同時死亡を想定していなかった

20年程前になるが、夫婦が同時に亡くなった事故を巡り、保険金の支払いを請求する裁判が幾つかあった。原因は、保険会社において夫婦同時死亡を想定せず、規定を定めていないため、生命保険金の支払いを拒否したからだ。しかし、平成5年(1993年)に最高裁判所にて保険会社に対して、支払いを命じる判決がでた。この判決を嚆矢として生命保険金が支払われることが増加したと聞いている。

■加入している保険の契約内容の再確認がおすすめ

相続において生命保険は重要な位置にあると言って良い。相続税の軽減を図る意味でも重要であり、また対策を練らずに放置した場合、相続税の増額に繋がる可能性を持つ。受取人を誰にするかでも揉めることもあるので、慎重に対応しなくてはならない。前述の夫婦同時死亡について、約款に記載していない保険会社もあるらしい。重要な終活の一環として、今一度自分や家族が加入している生命保険等の約款を見直し、不明な点があれば保険会社の担当者に直接問い合わせてみることを勧める。別の手として、ファイナンシャルプランナーに約款を見て貰ったうえで、問題点を抽出してみるのも良いだろう。滅多に発生しないとは言え、発生してしまった場合の影響は大きい。あらゆる可能性に備えるのも、円満な終活になるものと考える。

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