いつもの村田大志。竹本竜太郎、ついに。サントリー同期組、決戦への充実。 (2/2ページ)

ラグビーリパブリック

だから安定したプレーをしないと。強いプレーが求められると思っています」と話す。

 胸が高鳴っている。でも、気負いすぎることなくプレーしたい。

 慶大から入社して昨季までの6シーズン、ほとんど出番はなかった。5歳上の兄・隼太郎(NO8)もチームに在籍するが、同時にピッチに立ったのは数回のみ。「僕が試合に出られなかったので」と苦笑する。

 入社した2011年は2試合に出場。その翌年、翌々年は3試合に出場した。

 しかし、2014年は出場機会なし。2015年もプレシーズンゲームのみのプレーと、ピッチは遠かった。昨年も出場機会がなかった。

 そんな状態は今季も続いていたが、第10節の近鉄戦で先発FBのチャンスを得ると、第13節でも同様の出場機会を得て、日本選手権準決勝でリザーブスタートながら後半20分過ぎから戦いの中に入った。ファイナルでも前戦同様に23番を背負う。

 チームが頂上決戦に勝ち進んでも、これまでは、その戦いをいつもスタンドから見つめてばかりだった。大勝負のときにスパイクを履いているのは今回が初めてだ。

「自分が出場したときのイメージを頭に描きながら準備をして、出番を待ちたいと思います。そしてピッチに立ったらワークレート高くプレーして、先に出場している選手たちにエナジーを与えたい」

 自分の役目をそう口にした。

 左ききが重用されている。

 左足でのキックによりゲームをコントロールするマット・ギタウがベンチに下がると、竹本にその役目が求められる。

 天賦のものを武器にできるようになったのも、総合力が高まったからだ。試合に出られない時期も腐らず、自身の試合、練習での映像を徹底してレビューした。映像をLINEで共有して、仲間にアドバイスをもらったりもした。

 そんな積み重ねが実った。周囲とコミュニケーションを保ち続けた結果、チームにフィットする選手になれた。

 オフの個人面談がこわい時期もあった。チームの構想から外れたと告げられたら…と。

 しかしいま、その表情は充実している。

 チームマンとして、試合に出る選手たちのサポートに尽くすことに不満はなかったし、やり甲斐も感じていた。でも、ひとりのプレーヤーとしては、チームが勝っても悶々とするものはある。その感覚を知る者だからこそ感じる、ピッチに立てる喜びがある。

「試合に出られるようになると、やっぱり、いいサイクルに入れるんです」

 明確な目的を持って準備して、試合でプレーする。うまくいかなかったこと改善して、また次への準備を始める。

 戦いの中にいられることの心地よさをあらためて知った。本当に、諦めなくてよかった。

 決戦前日、穏やかに言った。

「楽しみたい。責任を果たしたい」

 素直にわき出る気持ちだ。

 出番が待ち遠しい。

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