いまさら聞けない生産緑地の2022年問題と相続税の優遇措置とは?

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いまさら聞けない生産緑地の2022年問題と相続税の優遇措置とは?

都心では中々お目に掛かれないが、郊外に行くと散見できる農地。その農地において一定の要件を満たし、各市町村長から指定を受けていれば当該農地は生産緑地と呼ばれる。生産緑地は、固定資産税の低減(一般的な宅地の200分の1)や相続税の納税猶予(相続税法第70条6項他)と言った優遇措置が適用されている。2022年(元号不明により割愛)に優遇措置の経過期間が期限切れとなり、優遇措置の適用を受けることができなくなる。適用を受けることができなくなればどうなるのだろうか。

■生産緑地の歴史を振り返る

最初に生産緑地の経緯について簡単に解説してみよう。1974年(昭和49年)に生産緑地法が制定され、三大都市圏にある農地を宅地に転用させ、不足しつつあった宅地の供給を促すことになった。

1992年(平成4年)に生産緑地法が改定された。環境保護の観点により農地の転用を抑制することが目的だった。この改定によって、1992年から30年後の2022年までの経過措置として、農地以外の転用並びに転売不可能を条件とし、前述の優遇措置の適用を受けることができたのだ。更に、2022年の期限切れ後3ヶ月以内に、市町村の農業委員会に農地等の買い取りを申し出て、買い取って貰えば特に問題とはならないかもしれないはずだった。

■優遇措置が無くなる可能性は?

北海道夕張市は、2007年(平成19年)3月に財政破綻した。会社に例えれば倒産したことになる。夕張市に限らず、財政が逼迫している市町村は多く、改善の兆しも見えてこないと聞いている。財政状態が悪い市町村だと、農地等の買い取りを申し出たとしても、買い取りを拒否される可能性が高い。そうなると、優遇措置が無くなることで固定資産税が200倍以上となり、相続税の納税猶予も無くなる。故に税負担が一気に増加してしまうのだ。また、東京ドーム2922個分(13442ha)とも言われる生産緑地が市場に出回った場合土地の供給過多となるため、地価の大幅な下落にも繋がることになる。当然、所有している土地についても下落することになるし、アパート等の家賃も下落することになるだろう。

■問題の解決策は?

問題の解決策だが、最も効果的なものは生産緑地の再指定だ。つまり、営農を継続することを条件として、再度市町村に申し出れば良い。ただ、後継者不足等簡単に継続することはできない状況も充分に考えられる。その場合ならば、税負担の増加と営農の継続について比較検討し、合理的な対応をとるべきだと考える。税負担、特に相続税の納税猶予や売却した場合の所得税については、税理士と相談すれば良いアドバイスを貰えるはずである。

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