高速で走るまん丸PR、U20候補合宿へ。坂本駿介(日大2年)、膨らむ意欲。

ラグビーリパブリック

 丸刈りの髪が伸び始めていた。

 丸坊主になったのは、増量指令の目標体重に届かなかったからだ。

「期間と数値を決めて、ウエートトレと栄養で体重を増やせ。そう言われていたのですが、できなくて」

 日本大学ラグビー部、坂本駿介。2年生のプロップだ。

 寒空の下、その表情は充実していた。

 まん丸な顔と体の若者は、2月9日から始まっているTIDキャンプに参加していた。U20日本代表候補選手たちを集めておこなわれている。

 その世代の優秀な選手たちが全国から集まっている。日大からの参加は坂本ひとりだった。

「(関東大学)対抗戦の選手や関西の大学の人たちがいる。凄く刺激を受けています」

 遠藤哲ヘッドコーチとの面談では、体の強さを褒められる一方で、もっとボールをもらう意志を強く持つこと、スクラムを組み込むことを求められた。やるべきことは、まだまだある。

 実はプロップになって、まだ1年ほどしか経っていない。三本木農業高校時代はおもにNO8。大学入学後も1年時はLOやFLでプレーしていたが、コーチのすすめもあってFW最前列に持ち場を移した。

 父・隆弘さんは東農大相撲部出身。受け継いだ体幹と下半身の強さがあるから吸収と成長は早い。2年時の春シーズン終盤には頭角を現わし、秋の公式戦にも出場。自信もつかんだ。

「東海大戦は負けたのですが(17-66)、前半、FWがモールで押し込めたシーンもありました。フィジカルでは通用するところもあるな、と感じました」

 練習と栄養管理で体も大きくなった。大学1年時は90キロほどだった体重は115キロ近くに。「こういった合宿に呼んでもらえて、学ぶことがたくさんある。成長し、教わったことをチームに持ち帰りたいですね」と話す。

 この人の注目すべきところは、大きくなってもスピードが落ちないところだ。体重が大増量となっても50メートル走は6秒3と以前のまま。「プロップをやるまでは、スクラムの辛さ、体重がある状況で走り続けることの大変さを知らなかった」と笑うが、自身はそれらのハードルをクリアする。

 目標とするのは同じ1番ながらアスリート体型で、運動量も多い日本代表、サンウルブズの稲垣啓太(パナソニック)。「もっといろんな経験を積んで、将来はトップリーグでプレーできたらいいですね。そこで一流のプロップになれたら」と意欲を示す。

 まだ押されることも多いが、少しずつスクラムの世界の深さも理解できるようになってきた。おもしろさも。

「(TID合宿で)生き残って世界と戦えるようになったら、もっといろんなことを知ることができるし、そうなったら成長できる」と自ら道を切り拓いていく気持ちも強い。

 むちむちの太もも、腕、まん丸の顔。

 新世代プロップの夢はふくらむ。

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