カーリング女子「韓国産イチゴ」大絶賛の陰で日本農家の複雑すぎる思い

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カーリング女子「韓国産イチゴ」大絶賛の陰で日本農家の複雑すぎる思い(写真はイメージです)
カーリング女子「韓国産イチゴ」大絶賛の陰で日本農家の複雑すぎる思い(写真はイメージです)

 白熱の試合展開で見事に平昌五輪・銅メダルを獲得し、日本中を魅了したカーリング女子チーム。そのプレイを支えたのが、試合のハーフタイムにゼリーや果実などを摂取する通称「もぐもぐタイム」だと話題になった。だが、その「もぐもぐタイム」をめぐって、LS北見のセカンド・鈴木夕湖選手(26)が語った何気ないひと言が波紋を広げている。

 問題となったのは、銅メダルから一夜明けた25日に『朝日新聞デジタル』(朝日新聞社)が掲載した「『韓国のイチゴ、お気に入りでした』銅のLS北見が会見」なる記事だった。同紙によれば、鈴木選手が「もぐもぐタイムで一番私が好きなのは、イチゴ。韓国のイチゴはびっくりするぐらいおいしくてお気に入りでした」と発言したのだという。

 故郷・日本を離れて、お隣り韓国でも馴染みのフルーツが摂れたという、一見、微笑ましいひと言かに思える。だが、日本のイチゴ農家にとっては、とても笑えない重大な問題を孕んでいるのだ。

■国家ぐるみで日本イチゴを海外輸出…知的財産権無視の韓国イチゴ?

 ここ数年、世界的な評価を高めている韓国産イチゴだが、農林水産庁によると「その90%が日本の原種を元に開発したもの」であり、しかも、日本のイチゴ農家たちが「契約を無視して、勝手に販売している」と怒る、いわくつきの品種なのである。

 1990年代、日本の「レッドパール」という品種が韓国市場の8割を占めたことがあった。この品種を長年にわたり開発したのは愛知県の農家・西田朝美氏だった。西田氏の元に金重吉(キム・チュンギル)なる韓国人が訪れ、有料で栽培を許可する契約を結んだ。当初西田氏は頑として拒んだものの、「どうしてもたのむ」と懇願され、仕方なく「5年間だけ」の契約で許可することにしたのだ。だが、その後、金氏は勝手に他の韓国人に苗を譲ってしまったため、レッドパールは韓国内に不法に広まることになってしまう。

 通常、日本では農作物の著作権を守る品種登録制度があり、25年間は使用料を取ることができるが、西田氏に使用料は一切入らなかった。13年に同問題を取材した『ニュースJAPAN』(フジテレビ系)では、金氏はあまつさえ「日本よりもおいしいよ」と笑顔で語り、いまだ韓国南部でレッドパールを栽培し続けていることが伝えられた。

 問題は、まだ続く。その後、韓国政府はロイヤリティを逃れるため、国家をあげて「論山イチゴ試験場」を開設。日本から持ち出した「とちおとめ」や「章姫」、「レッドパール」などを交配し続け、12年に「錦香」「雪香」などを独自品種として登録したのだ。そして、韓国が誇る「国産品種」として、栽培の差し止めを逃れた。農水省によれば、日本のイチゴ品種が輸出機会を奪われたため生産者が被った被害は、5年間で220億円にものぼるという。

 LS北見の口にしたイチゴが美味しかったのは事実だろう。だが、イチゴをめぐる日本の農家の忸怩たる思いを知りながら、冒頭の記事に『韓国のイチゴ、お気に入りでした』の表題を付ける朝日新聞の感覚が信じられない。

 彼女らが美味しいと感じたのは、「慣れ親しんだ味」が脈々と受け継がれていたからに違いない。彼女らの血となりエネルギーとなったのは、まぎれもなく日本の農家が苦心の末に開発したイチゴだったことを誇りに思いたい。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)
※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。
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