連帯保証という権利や借金も相続財産の中に含まれることを忘れてはならない (1/2ページ)

心に残る家族葬

連帯保証という権利や借金も相続財産の中に含まれることを忘れてはならない

先日インターネット上のニュースで、親の遺産相続後に身に覚えのない借金の督促状が送付され、金額を見て卒倒しそうになったという内容の記事を見た。筆者のように相続に関する実務経験者や、相続税の知識を有する者からすれば当然とも言える内容であるが、世間一般の人達からすれば自分の借金ではないのにも関わらず、借金の督促状を受け取るという理不尽な状況に陥る。もし、事前に相続について少しでも知識があれば、または関心を寄せて専門家に相談していれば、最悪の状況にはならなかった。

■ある方の相続の具体例

では、何故このような状況になるのかいうと、相続とは亡くなった人の財産のみを引き継ぐだけなのではなく、借金も引き継ぐと同時に借金に関する責任も引き継ぐということなのだ。筆者が経験した具体例を挙げてみよう。A氏は小さな会社を経営している。生前会社の運営費として三億円を銀行から借り入れ、A氏個人で連帯保証しつつ自宅を担保として銀行に差し入れていた。A氏が病気で亡くなり、配偶者のB子さんと二人の子供が相続人となったが、A氏の会社はA氏が亡くなると同時に債務超過のため倒産してしまい、二億円近い借金が残った。完全なオーバーローン状態であるため、筆者はB子さんに相続放棄を勧めたが、心労を理由に手続きを拒み続けた結果、相続放棄が不可能となり多額の借金を負うことになってしまったのだ。最終的には自宅を手放し、自己破産することになった。

■連帯保証という権利が相続された

問題は二つある。一つ目は、銀行等の金融機関に関する連帯保証は相続の対象になる。二つ目は、相続放棄(民法第938条他)の申述期間は三ヶ月となっていて、この期間を超えると相続放棄ができず、相続したものと見做されてしまう。そうなると、A氏の相続人であるB子さんは結果的にA氏の会社の借金の二分の一、二人の子供達は残りの二分の一を折半して相続したことになってしまうのだ。どういうことかというと、会社の借金の連帯保証人となっていたA氏が亡くなり会社は倒産し、会社の借金の返済は不可能となった。しかし、連帯保証人となっていたA氏の相続人であるB子さんと二人の子供が連帯保証人の地位を相続したことによって、本来会社のものであった借金が相続人達のものとなってしまったのだ。

「連帯保証という権利や借金も相続財産の中に含まれることを忘れてはならない」のページです。デイリーニュースオンラインは、マネーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧